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MARUNOUCHIのブランド戦略の裏側

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<左:かつて爆破テロのあった三菱重工ビルにもブランドショップ 右:今や名物の丸の内の牛のオブジェ>

今、最も変貌を遂げている街はどこか?
それは「丸の内」だーといったら意外に感じるだろうか。えっ?と思うかたは、試みに有楽町から丸ビルに向かって、仲通りを歩いてみてほしい。その変貌ぶりに目を見張るだろう。

丸の内といえば黒塗りの社用車が行き交い、通り沿いには、銀行・金融機関が立ち並び、日本を代表するビジネスゾーンである反面、ビジネスマンで賑わうのは昼間だけ、夜や休日はゴーストタウン化する。そんな実態とイメージを払拭しようと三菱地所が数年前から動き出している。バブル時代には、「丸の内マンハッタン計画」なるものが存在し、丸の内のビルを全て高層化し、ニューヨークのマンハッタンのようにするという、なんともバブリーな話があった。しかし、現在始動している戦略は全く別のアプローチになっている。それは、一言でいえば街のソフト化とブランドの構築を目指す戦略である。

仲通り沿いのビルテナントから銀行が立ち退き、ファッションブティックなどブランドショップが立ち並び始めたことには、お気づきだろう。これは何も丸の内のOLのためにやっているわけではない。街角に牛のオブジェなど屋外アートが並んでいるが、これも美術品好きのどこかの社長の趣味のためにやっているのではない。こうしたことは全て「MARUNOUCHI」というブランドを構築するためなのだ。なぜ、横文字にしたかといえば、。「MARUNOUCHI」というブランドが、従来の「丸の内」に加えて、隣接する「大手町」「有楽町」も包含する広域地域ブランドだからである。実際、この3つのゾーンを一体開発する協議会が存在し、ブランド戦略に基づく計画が実行されている。

この3つのゾーンを会わせた広域「MARUNOUCHI」は、110haの面積と24万人の就業者を抱える文字通り日本一のビジネスゾーンとなる。先端シティーとして名をなす六本木ヒルズも確かにスゴイかも知れないが、「MARUNOUCHI」は、六本木ヒルズのナント10倍の規模である。

でも、ここで大きな疑問が湧く。街のブランド価値を高めるということは、確かに結構なことだが、この地域の事業者にっとってはどんな実質的な意味があるのだろうか?カッコイイ街で働いていることは、確かにカッコイイことかも知れないけれど、だからといって必ずしもオフィスを高く貸せるということにはならないだろう。オフィスの賃料とは、実質的な価値で決まり、ブランド品のようにイメージに依拠したものではないからだ。

こういう疑問を、「MARUNOUCHI」のブランド戦略を展開している三菱地所の関係者に聞いてみた。答えは驚くべきものであった。

「われわれのミッションの達成指標は地価です」

バブル時代こそオフィス賃料もイメージに引きつられて上がったことがあったが、それでも地価の高騰度合いに比べればカワイイものであった。それに対して地価は、イメージの影響を大きく受ける。逆にいえばイメージ戦略の展開によっては、地価を上げることができるのだ。三菱地所をはじめとして丸の内地区にビルを持っている企業の土地資産の簿価は考えられないほど低いはずだ。したがって少し地価が高騰するだけで莫大な含み益がが発生する。
バブル時代が終焉し、多くの企業は「含み益経営」と決別したといわれる。地価が下がる局面では、含み損が発生しバランスシートを傷めることになるからだ。しかし、丸の内の企業においては事情が異なる。デフレのトレンドにあっても含み損が発生するようなことのない簿価で既に土地を取得済みだからだ。
従って多くの丸の内企業にとっては、地域ブランド価値が向上し、地価が上がることが、幸せにつながる。実際、丸の内の地価は上昇に転じている。不思議なことだが、「MARUNOUCHI」ではバブル時代の構図が未だ生き残っているのだ。

三菱地所のIR資料を確認してみた。日本全体が停滞感にあえいでいた98年から2003年にかけて総資産は2.1兆円から3.0兆円と拡大している。これも「MARUNOUCHI」効果か?


(カトラー)

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