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ひとりビジネス:青空洋品店という生き方

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根津が好きで、昔、住んでいたこともあり、時々、谷根千(谷中、根津、千駄木)の辺りを歩く。

この頃、覗いて見るのが楽しみな店がある。あづさんとぃう若い女性がひとりで開いている「青空洋品店」という小さな洋品店だ。開店したのは昨年の7月。お隣が牛乳販売店とお寿司やさんという3軒長屋の1軒で、扱っている商品は女の子たちがカワイイ!と声を上げそうなガーリーでシンプルな洋服やTシャツだが、この街にずっと昔からある洋品店のような表情をしてひっそりと佇んでいる。
(谷中工芸展HPの紹介記事→ http://www.tctv.ne.jp/geikoten/denno/interview/1/

 

5坪ほどの狭い店内には、お母様から受け継いだというミシンが置いてあり、いつ行っても、あづさんがその前に座り、ミシンをかけている。青空洋品店が扱っている商品は全て、あづさんがデザインし、この足踏みミシンから生み出されたものだ。シンプルにデザインされた「青空洋品店」という屋号が、店におかれている服の左胸にブランドとしてつけられていて、その意味では「青空洋品店」は、あづさんがデザイナーであり、製作者であるデザイナーズブランドといってもよいだろう。

ただし、青空洋品店には、他のデザイナーズブランドショップのようなホームページやカタログはない。

「ここにあるものは、ほとんどが私が作る一点ものなので、ホームページやカタログなどで注文をいただいても、対応できないので、かえってご迷惑をかけてしまいます。お店にまず来ていただいて、気に入ったものがあったらお買い求め下さいとお客様にはお願いしています」

あづさんは、ニコニコしながらそう話してくれた。

「うーむ、この自然体、究極の身の丈スタイルには、まいりました」というのがカトラーの率直な感想だ。
いわゆるSOHO的なビジネスを手がけている人で、ホームページを立ち上げていないというケースの方が珍しいのではないか。自分が好きな服を作り、それを気に入ったくれたお客に買ってもらうという、「青空洋品店」の商売の原点を考えると、ホームページを立ち上げることさえ、余計なことになるのだろう。
先の記事でも言及した「ひとりビジネス」とはこういう生き方のことをいうのだなあと妙に感心してしまった。

青空洋品店とは、昨今、流行りのブランドショップではない。あくまでも街の洋品店である。
しかし、5坪しかないその洋品店は、その表情、店内でいつもミシンを踏んでいるあづさん。そして、あづさんが一点一点創り出す洋服たち、そうしたものが全てひとつになった「アート」と呼ぶべきだろう。

谷根千を歩く機会があったら、この「アート」とあなたも出会ってほしい。

aozora_shop.jpg

 青空洋品店 12:00-20:00 
 〒110-0001  東京都台東区谷中2-5-9  090-4145-7135

(カトラー)

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コメント

はじめまして。
血迷って足踏みミシンを購入しそうなのですが、お店を開いている方がいらっしゃると知って励まされました。
一度うかがってみようと思います。

投稿: たこ麗子 | 2005.02.15 22:30

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