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「縁尋奇妙」時代のコミュニケーション戦略

久米繊維工業の久米信行社長の本「メール道」(NTT出版)の出版パーティーがあった。「パーティなどという晴れがましいことは嫌い」(久米さん)と何も予定されていなかったようなのだが、周囲の人々の中から声があがり、キープラネットの川野さんと、ともクリエーションズの渡邉さんのプロデュースで開催のはこびとなった。

先週の鈴木大吉さんの「IT研究会」でも久米さんに、お会いしたので、続けてお目にかかる機会にめぐまれた。パーティーには、久米さんの縁者が大勢駆けつけ、とても良い雰囲気の集まりとなった。これも久米さんの人柄がなせる技であろう。

このパーティに集まったメンバーは「縁尋奇妙」メールという久米さんが主宰している異人交流メールを通じて互いに知り合った人々がほとんど。久米さんは、縁者から毎日届くメールの中から心にとまったものを他の縁者たちに紹介するという取り組みを、長年にわたり続けてこられた。「縁尋奇妙」とは、宝苑珠林(昔の仏教解説書)の「縁尋機妙」という言葉がもとになっていて、陽明学者の安岡正篤氏が、「よい縁は次から次へとよい縁を結んでくれる。だから人の縁を大切にしなければいけない」と説いていたもの。久米さんを軸にした人々の輪は、まさに「縁尋奇妙」あるいは「縁尋機妙」を体現したものといえるだろう。

久米さんによれば、インターネットが登場した時、この「縁尋奇妙」を実現するツールを手にした!と狂喜したそうなのだが、時が経ってみると、HTMLのWebの世界は、企業中心のものになってしまい、個人やSOHO事業者の存在感が相対的に薄くなってしまったという。そういう久米さんが、今、最大限に評価・期待しているのがブログである。
個人にとっての敷居の低さ、簡便さ、そしてネットワーク力の大きさなど、これまで存在した、どのコミュニケーションツールより「縁尋奇妙」にとって強力な武器になるという。そうした久米さんの話を聞きながら、このところ自分なりにブログについて感じていた疑問のひとつが解けた気がした。

それは、「人は何故、ブログを通じて情報発信をするのか?」という疑問である。世の中のさまざまなブログを見ていくと中には、こんなに貴重な情報までオープンにしてしまってよろしいの?と疑問に思えてくるようなアリガタイブログさえある。いったい人はそこまでして何故、ブログに取り組むのか?

久米さん曰く「ネットの世界のコミュニケーションは『give and take』ではなく、『give, and give, then given.』です」。

「give, and give, then given」の戦略への転換

情報は、モノと違って、人に与えてもそのことでなくなりはしない、たんに広がるだけである。だから、与え続けることができる。与えて、与え続けて、気が付くと何かを与えられている。良い教師は、生徒を一生懸命に教えることを通じて、逆に生徒に教えられていることに気づくというが、ちょうどそうした関係に似ている。そして、情報の伝播やコミュニケーションの本質がこうした点にあると考えるなら、モノや資本が、それこそ「モノをいった」時代から、情報が主役になる世界においては、「give and take」から「give, and give, then given」の戦略に転換することが正しいといえるのかも知れない。ネット上におけるマーケティングの要諦もこうした戦略転換に求められるいってもよいだろう。

このことは、ボランティアやオープンソースなどオープンネットワーク型のビジネス戦略にも共通していえることだ。
木村剛氏が「週刊!木村剛」のネットワークから、自然発生的なボランティアとして生まれた「公的年金タスクフォース」の取り組みについて、これまでとは異なる思考パラダイムが必要で、一般のビジネスのように「効率優先」で「排除の論理」を働かすのではなく、「ゆったり構えて」「異質な志向も受け入れる」ことが重要だと主張していた。こうした考えは、奇しくも久米さんのネットワーク対する考え方と相通じるものといえるだろう。

しかし、「give and give and given」を実践するのは、たやすいものではない。究極的には「仏の道」に通じるものであるから、むしろ困難の方が多いといってもよいだろう。しかし、昔の人は良くいったもので「神様、仏様、お天道様はちゃんと見ている」。久米さんの「メール道」は出版されるや、縁者のネットワーク力によってAmazonで30件を越えるレビューが付き、Amazonのランキングでは、ビジネス分野で瞬間的とはいえトップに躍り出たとのことだ。このままいけばベストセラーだって夢じゃない。

で、この記事の締めは、相田みつを風(?)に「メール道」ならぬ「ぶろぐ道」のキャッチフレーズとして「give, and give, then given」を以下のように翻案してみました。気に入った方は、筆ペン下手文字で揮毫し、壁に貼って毎日眺め、「ぶろぐ道」のさらなる精進の励みにしてください。

blog_road2.JPG
<拡大できます>

追伸(8/1)

「週刊!木村剛・コマログ」小松原営業部長さま
この原稿中の久米さんの著書の件は、月刊!木村剛のプロモーションに参考になるかも・・・
ということで、こちらにもトラックバックさせてもらいます。


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Comments

「give, and give, then given」の戦略って素敵なコンセプトですね。ブログは、そのことを体験させてくれているように感じています。

ところで、今日の木村剛さんのブログご覧になりましたか?

Posted by: 大西宏 | 2004.08.02 at 12:56 PM

トラックバックとコメント、ありがとうございました。

今現在サイドバーに掲載されている新着記事だけ見ても、
今の自分にとってすごくタイムリーな話題が続いていて、
本当に役立ってます。

次の機会にはぜひご挨拶させてください。
今後ともよろしくお願いします!

Posted by: おざきしろう | 2004.08.05 at 11:46 AM

カトラーさん、こんにちは!Ochanokoです。
久々に私好みのコラムを目にしたので、コメントを投げさせて頂いてます。
最近、「人の幸せ」について、色々と考えては壁にぶち当たり、また考えて・・なんて地味なことをしてます。電車の中とかで自分なりにではありますが。カトラーさんの、「仏の道」という言葉を目にして「へぇ~」と少し胸のつかえが落ちたような気がしました。
今はやや、ぶろぐから離れてしまっておりますが、「ぶろぐ道」のキャッチフレーズ、最高ですね!ジーンときました。手帳に入れて持ち歩きます♪
Ochanoko。

Posted by: ochanoko | 2004.08.05 at 12:44 PM

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