ビジネスブログの黎明、ブログが変える企業文化

日立製作所が企業向けのブログサービス「BOXERBLOG powered by TypePad」の提供を始めている。
6日、六本木ヒルズで「The Day of Collaboration 」というセミナーが開催された。国内大手のITベンダーで企業向けのBlogソリューションの提供を始めたのは日立製作所が先駆けいえるだろう。波多野blogの波多野精紀さんも指摘しているが、ビジネス分野のブログがまだまだ少ない中にあって、こうしたサービスの登場には大いに注目したい。
今回のセミナーでは、講演者として慶応大学の熊坂賢次教授やシックスアパートの平田大治氏が登場し、情報流通のあり方やビジネスブログの可能性について意見を聞くことができた。
企業がブログを導入するメリット
ビジネス分野においてブログが普及するためには、当たり前のことだが、個人の場合よりも明確なメリットが必要である。セミナーの中でも指摘されていたことだが、現状において企業がホームページ(HP)をブログ化したり、情報共有のツールとしてブログを導入することのメリットは、以下の3点に集約できるだろう
①効率的なコンテンツマネジメントシステム(CMS)として、これまでWebの更新にかかっていた手間やコストを削減できる。コンテンツがXML化されるので、その後の検索システムの構築やWebサービスとの連携が容易になる。
②サーチエンジンからのトラフィックの割合が高くなる状況にあって、ブログとサーチエンジンとの相性の良さから、結果として、ブログ化したHPへのトラフィックを高めることができる。
③イントラ内で運用し、社内における情報共有・コラボレーションのツールとして活用できる。また、顧客とのコミュニケーションに利用すれば、情報共有に加えて、企業の情報透明度を高めることができる。
ひとくちにビジネスブログといっても、この「カトラーのマーケティング言論」のように、ビジネス系のネタを個人の立場で発信しているブログから、企業のWebそのものをブログで運用するケースまで色々である。今後、伸長が見込めるのは、企業Webが上記のようなメリットを背景にブログ機能を導入していく流れだろう。
こうした数あるビジネスブログの中で、松坂屋本店が運営しているブログ「@honten-nikki」は、大変好感が持てた。松坂屋本店の社員が個人の目線で、売り場を眺め、面白い商品や催しの情報を掲載している。こうしたケースでは、どうしても内容が宣伝臭くなりがちだが、手前味噌的情報になっていないのが良い。このブログを書いている管理人氏の力量、キャラクターによる所も大きいのだろうが、ブログを通じて売り場や商品に対する愛情が伝わってくるので、それが好感度を上げる結果になっている。ちょうど、有機農作物などを作っている農家の人が、HPに登場して自分の作物を誇らしげに語る姿を見る時に感じるほほえましさに相通じるものがある。
この松坂屋本店の事例に見られるように、社員の個人の目線を活かしていける点もビジネスブログの新しい可能性と考えることができるだろう。
また、社員が個人の視点から情報発信をすることを許容しているという意味において、このブログが存在すること自体が「松坂屋」というデパートのイメージアップになっているはずだ。これまでのように企業ブランドの影に個人が隠れるのではなく、積極的に情報発信をする個人が、逆に企業ブランドイメージを高める力になる時代を迎えているのではないだろうか。
セミナーに話を戻そう。
「企業がブログを活用して情報共有や情報発信をおこなっていく場合、何を共有し、何を外に出したら良いのか?
外に出せない情報も多いのではないか?」という質問が、シックスアパートの平田氏に投げかけられていた。
それに対して平田氏は、個人的見解と断りながら
「基本的には外に出せる情報は全て外に出すべきと考えます。シックスアパートでも新バージョンのリリースなどでバグのクレームなどがあった場合、全てそのクレームごとオープンにしていくつもりです。そのプロセスを見せることでかえって顧客から信頼を得られるのではないかと考えています」と述べていた。全く同感である。
ブログが高める企業の透明性
企業がブログを有効に活用していけば、企業が保有している情報の価値や企業と企業内の個人の関係も見直し、ひいては企業自体の透明度(トランスペアレンシー)を高めることにつながるだろう。
ちょうどその対極のことをやってしまったのが三菱自動車グループだ。
顧客からのクレーム情報を徹底的に隠匿し、外に対しては情報管制を敷いた。そのことが今日の危機を招いているのである。今になって監査委員会をつくるとか、株主総会で「顧客第一、コンプライアンス第一」とか、一生懸命言っているが、今更何を言っても手遅れの感が否めない。
そこで、この際、カトラーとして三菱自動車に提案したいのは、今回の問題を機に、社員全員にブログを持たせたらどうかということだ。イイも悪いも全部オープンにしてみるのだ。
「そんなことをしたら全てが明るみになって大変なことになる?」
まさか、そんな声は当の三菱自動車からは上がってこないと信じる。内部情報を開示しなかったために、もう充分大変なことになっているのだから。
反省すべきは、もし最初の不祥事が発覚した時に、社員に情報発信のツールや場を与えていたらきっとこんな事態に陥っていなかったはずということだ。三菱自動車のトップは、社員を全面的に信用して、ブログで情報発信をさせるべきだ。自分の会社や製品を愛していれば、外に出してよい情報かそうでないかは、おのずと良識的な判断が働くはずだ。もし、そうした良識や製品に対する愛情が社員にも存在しないなら、その時こそ、そんな会社は無くなってしまえば良い。
(カトラー)


Comments
Trackbackありがとうございます。honten-nikkiを管理しています「関」と申します。あまりに褒めていただき少し照れくさいです。(笑)ページを立ち上げて以来、多くのサイトで取り上げて頂いたり、取材して頂いたりと大変感謝しています。私がこの職務に移動になったのは4年ほど前なのですが、その頃よりCMSには注目していました。百貨店の情報発信も「個」「私」のスタンスで「消費者により近い目線」の「気楽」なページがあってもいいのでは・・と思っていました。しかし、当時のCMSソフト(システム)はあまりに高額であり、費用対効果を考えたらとても私の一存で導入できるものではありませんでした。(ヤングファッション専用サイトにて半年ほどテスト運営はしてみましたが・・)で、最近人気の出てきたMTを自宅のLinuxサーバ(ローカル)で試してみたのですが、企業としての利用を考えた場合、「担当者の技量(PCの)に左右されることなく、誰でもエントリーが可能」や「CSSを含め、サイトのメンテをしてもらえる」ことを重視し、e-mail配信システムを構築していただいたappleple.comの山本さんにa-Newsの改良版となるa-Blogの開発を依頼しました。現在はβバージョンであり、コメント機能も殺しているのですが、SAPM対策を施した後導入したいと考えています。(お客様の生の声は聞きたいです)
最後になりますが、文中の「松屋」→「松坂屋本店」と修正お願いいたします。
長文になりましたが、honten-nikkiについては「何処までが仕事で、何処がら趣味の部分」なのか本人もわかっていません。(笑)でも、これからも「Webが好き」っていう気持ちだけで頑張りたいと思います。(これが一番大切ですが)
Posted by: seki | 2004.07.07 at 10:44 PM
関さん、コメントありがとうございます。
店名のミスは大変失礼しました。すぐに修正させていただきました。どうも昨日のあまりの暑さにぼーっとしていたようです。
自分の送ったメッセージにすぐ反応が返り、ご縁が広がっていくのがブログの良さですね。いただいたコメントは、ブログの活用を考えている他の企業担当者にも参考になると思います。
ありがとうございました。
Posted by: katoler | 2004.07.08 at 10:10 AM