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Blog VS マスメディア あるいはトロイの木馬

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「イカロスの墜落~共同通信ブログ休止の波紋~」という私の記事が「週刊!木村剛」で取り上げられた。

その記事でも紹介したが、共同通信のブログ「署名で書く記者のニュース日記」が、このブログを主宰する小池編集長のライブドアの堀江社長に対する批判記事に端を発し、ブロガーから批判コメントの嵐が殺到し、休止に追い込まれているのだ。問題となった共同通信のブログは、残念ながら相変わらず止まったままで再開の兆しは見られない。

米国でもブログとジャーナリズムの関係をめぐっては、さまざまな議論が出て来ているようだ。
「ネットは新聞を殺すのか」の著者、湯川 鶴章氏のブログで伊藤穣一氏が米国の状況に関する記事をエントリーさせていることを知った。

Bloggers versus journalists

I think the DNC could turn into a key moment in the discussion about bloggers versus journalists. I've generally been rather low-key on this issue, taking a position that bloggers and mass media should work together and that bloggers and professional journalists had different strengths and weaknesses. I am getting a sense that an increasing number of professional journalists are beginning to feel threatened or at least seem to be trying to belittle bloggers as a source of news.・・・

ブログとマスメディアは、いずれぶつかる時が来るだろうと予感していた。確かに伊藤穣一氏が思い描いていたように、両者は、それぞれの強みと弱みを持っており、本来は互いに補完しあい共存しうる存在である。しかし、この記事を読むとマスメディアの側から明らかにブログに対する恐怖感、苛立ちのようなものが生まれていることが推測できる。
マスメディアは、何故ブログに苛立ちを覚えるのだろうか。米国では「ブロガーはジャーナリストではない」というような批判が、マスメディアに属している、自称「ジャーナリスト」の連中からブロガーに対して投げかけられている。私の考えではこうした批判のほとんどは「シマを荒らされた」と凄んでみせるヤクザの縄張り意識とほとんど変わるところがない。

こうしたジャーナリズムに名を借りて、劣情にまみれた議論をする輩を黙らせるには、雑誌「選択」の元編集長、阿部重夫氏の以下の文章を示せば充分だろう。

「ブログ」の中のうじ虫<asahi.com 2002.5.11より>

阿部氏は、2年前に書かれたこの文章の中で、ブログをウジ虫に例えている。それは、かつてキリスト教会を中心とした同心円的な宇宙観に反旗を翻した反逆者たちが、神や天使が、宇宙というチーズの海から湧いたうじ虫のようなものと言ったことに倣っている。

・・・(前略) ブログはプライバシーや知的所有権といった概念とは相容れない。近代経済社会を構成する「個人」と「法人」を前提とした同心円は、私語のブラックホールを埋められないのだ。チーズのうじ虫が天動説の神学を覆したように、ブログのうじ虫も資本主義の神学を食い破りかねない。  資本主義の一端にすぎない商業マスメディアもその累を免れない。米国では、ライターと「ブロガー」の兼業まで登場した。広告収入減に苦しむ新聞などの公式サイトを尻目に、人気ブロガーのサイトは一日数十万のヒットを誇る。ブログでは奇説珍説が尊ばれるから、リベラルより「極右」に人気が集まる。「インターネットが民主主義の味方」なんて嘘(うそ)っぱちなのだ。

阿部氏は、日本刀のような切れ味(&美しさ)を持つ文章で知られているジャーナリストだが、米国のブログブームに火がついた2年前の時点で、ブログのコミュニケーションツールとしての潜在力、そして限界をも鋭く見抜いていた。

話を日本の状況に戻そう。
日本のマスメディアとブログとの関係は、残念ながらジャーナリズムについて云々するようなレベルに達していない。
今回の共同通信ブログ事件が、良い意味で建設的な議論を交わすきっかけになればと期待したのだが、小池編集長がこれまでのところ、沈黙してしまっているのでその期待は空振りに終わる気配が濃厚である。
木村剛氏が「ジャーナリストなら匿名性に逃げ込まないでほしい!」と呼びかけていることに私も全く同意する。
前回の記事でも述べたように、小池氏がブログを立ち上げたそもそもの動機が、日本のジャーナリズムの、匿名性のバリアに守られた言語空間から脱出することにあったのだとしたら、この問題の帰趨は、ブログとマスメディアの関係に将来にわたって少なからぬ影響を与えることになるだろう。

阿部氏の表現に倣って、ブログのうじ虫となって「マスメディアという資本主義の神学まで食い破れ」とまでけしかけるつもりはない。ただ、再びギリシア神話に倣っていえば、小池氏にはトロイの木馬のように、閉ざされた言語空間の内部にあって、内側から声を上げ続け、闘い続けてほしいのだ。

(カトラー)

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Comments

ブロガーとジャーナリストでは、長所も短所も違うということろは重要だと思います。取材能力では、ブロガーは所詮勝てない。しかしものの見方ということでは、ブロガーはたくさんの視点を展開します。(ごめんなさい。英語読んだら訳文みたいになってしましました)
いつも切れ味の良い記事ですね。

Posted by: 大西宏 | 2004.08.08 at 10:35 PM

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Posted by: hairypussy | 2007.07.19 at 07:13 AM

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