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那須温泉ふたたび~地域再生への視点~

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<那須の秘湯・大丸温泉>

先週末、半年ぶりに那須温泉にでかけた。
このブログを始めたきっかけが、社会起業家の村井君が企画した「那須高原まったり温泉バスツアー」に飛び入り参加したことだということは、以前の記事で紹介したことがある。

そのツアーで、望外にも30人のOLと「混浴体験」ができたのだが、そのことをこのブログで報告したところ、それ以来、「混浴帝王カトラー」というありがたい称号を周りの人々より授けていただいた。ふたたび那須に行くと言ったら「また、混浴狙いか!」と顰蹙(ひんしゅく)を買ったのだが、今回は、村井君が幹事役になり、「地域再生」について研究するというのが、表向きの趣旨。某有名私立大学で教鞭をとられている渡辺先生、そのご友人で建築家の長谷川さん、松岡さん。九州で病院を経営され、地域NPOなども立ち上げておられる小山先生、ベンチャー支援組織を運営しているカイ・田中氏(仮名)、そしてカトラーこと私と村井君という顔ぶれとなった。

那須温泉には偽りなしなのだが・・・

半年ぶりに訪れた夏の那須温泉は、肌寒さを感じるほど爽やかで、夏休みシーズンということもあり、観光客で賑わっていた。
つい最近の那須温泉における大きな事件は、長野県の白骨温泉の「入浴剤投入事件」に端を発し、マスコミが那須温泉にも押し寄せ、一部の旅館が水道水を使っていたと報じられたことであった。しかし、この指摘を受けた旅館は、温泉と偽って営業していたわけではなく、地元でもそのことは良く知られていたことなのでいわゆる「偽表示」ではない。ただ、5年前に制作した温泉組合のホームページがメンテナンスされておらず、その紹介内容に「温泉」の表記があったため、問題化したのだという。取材を受けた際には、もちろんそうした事情を説明したらしいのだが、TVなどでオンエアされると他の温泉場のコメントと並べて編集され、真意が伝えられなかったという。地元の人々にとっては、ステレオタイプ化されてたマスコミ報道の怖さを身をもって知る苦い経験になってしまった。

今のところ幸いにも、那須温泉では風評被害のようなものは、出てきていないようだが、全国の温泉場にとって今回の騒動は、展開次第では、単なる「表示」の問題ではなく、膿のようにたまった経営問題を噴出させるきっかけになる可能性がある。
大手銀行の不良債権問題が峠を越し、景気は上昇傾向にあるといわれるが、地方の経済にはそうした緩みは全く見られない。この那須温泉でも、客足は戻りつつあるが、バブル時代に足利銀行が中心となって実行された融資が重い足かせとなって、旅館経営を圧迫している。当の足利銀行の経営も行き詰まった。
那須温泉の旅館・ホテルの経営内容は、他の温泉場に比べれば格段に良いのだが、それでも本来なら産業再生機構やRCC(整理回収機構)などの手に委ねるしかない旅館も数多いと聞く。が、簡単に手を挙げる所は無い。というのも、RCCなどの手に委ねられるということは、経営者の交代を迫られることを意味するからだ。代々続く生業として旅館を営んでいる多くの旅館経営者にとって、経営権を手放すことなどとてもできる相談ではない。さらに、もっと問題なのは、事業再生を推進するにしても、それを現場で担う人材が見あたらないということだ。これからは、国内のリゾート地との競合が激化することはもちろん、海外との競争や逆に海外の観光客を呼び込むためのPR戦略も必要になるだろう。そうした新しい経営環境に対応した実務やマネジメントができる人材がなかなかいないのだ。

地域再生ファンドの設立ラッシュ

那須に限らず地域再生を考える場合、合理化やコスト削減を先行させるリストラ的視点だけでは不十分である。ぜい肉を落とすことは、もちろん大切だが事業構造(=体質)そのものを変えなくては「再生」はおぼつかない。そのためには新たな投資も必要となるが、地方銀行など、これまでの資金の担い手は機能不全になってしまっている。
そこで注目されているのが「地域再生ファンド」である。郵貯の運用資金がこの「地域再生ファンド」に投入されることが報じられるなど、2004年前半は、地域再生ファンドの設立ラッシュとなった。しかし、繰り返しになるが、問題は地域再生のために汗をかく熱意とスキルを持った人材をどのように確保するかだ。さらには、そうしたキャリアを持つ人材を仮にそろえることができたとしても、地域の合意や協力体制がなければ何も進められない。

前回、今回と那須を訪れてみて、非常に印象に残ったのは、若い世代の経営者たちが、積極的に次の手を打とうとしていることだ。村井君も協力してるのだが、大丸温泉も、この11月から大幅に食事のメニューと提供方法を見直し、より「健康」面に配慮した内容に切り替えるという。せっかく温泉に行きながら、「ご馳走」ぜめでかえって体調をおかしくしてしまう人も多いわけで、中高年の泊まり客から高い評価を得られると思う。徐々にではあるが、変化は始まっているのだ。

しかし、変わってほしくないものもある。大丸温泉には、「混浴」という素晴らしい文化を、ぜひいつまでも遺してほしい。大自然のもと、川のせせらぎや鳥のさえずり、豊かな緑に囲まれて人は限りなく素直になれるのだ。
「それは、混浴でなくても可能だろう!」というツッコミの声も聞こえてくるが、そういう人はぜひ一度、大丸温泉に行き、アダムとイブの創世神話にも通じる「混浴」を実際に体験してみてくれ。そうした考えや見方がいかに小さいかわかっていただけるはずだ。

「じゃあ今回の那須温泉行きでも、混浴したの?」という問いには「秘すれば花なり」と世阿弥の言葉を借りてお答えしておこう。少なくとも、今回のメンバーおよび那須温泉の皆さん、および我々怪しい面々を家族総出で、素晴らしい料理とともにもてなして下さった水野さんファミリーとは、間違いなく「精神的混浴」を果たし、これから永きにわたっての仲間とならせていただいたと、カトラーとして勝手に断言させていただく。
で、最後に大丸温泉の露天風呂で幸せな気分で捻り出した句をひとつ・・・

  恥じらいに 蜻蛉目で追う 露天かな  

                      (火頭裸)

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