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日経よ!お前もか

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木村剛氏が責任編集する「フィナンシャル ジャパン」が創刊された。

本屋に行く時間が無く、先週末になってようやく創刊号を手にすることができた。まず、表紙の写真に驚かされた。竹中大臣と福井日銀総裁のツーショットである。大新聞社や大出版社のブランドパワーをもってしても、こうしたキャスティングはなかなかできたものではない。木村氏との盟友関係があって、こうした芸当が可能になったのだろうと想像し素直に感心していたのだが、今日の「週刊!木村剛」の記事を見てさらに驚いた。
日経金融新聞の花盗人というペンネームを名のる人物のコラムで、福井総裁が、「フィナンシャル ジャパン」に登場したことは、木村氏が取締役として名を連ねる日本振興銀行に肩入れしたことになり、日銀総裁としての中立性を揺るがすことになると、正に牽強付会も甚だしい批判が展開されているというのだ。

木村氏は「いやあ、笑わせていただきました」と軽くかわし、「そんなことを言ったら、日銀総裁が日本経済新聞の取材に応じたら、日本経済新聞のメインバンクに肩入れしていることになりかねないではないですか」とバッサリ斬り返していた。まともに問題にするのもバカバカしいほど、花盗人という輩の言っていることは支離滅裂で、本来、議論にも値しない。日経の記者なのか、外部の人間なのか、匿名なのでわからないが、こんな低レベルのコラムを掲載した不明を恥ずべきである。

さて、ここからは、少し想像をたくましくした仮定の話。察するにこの人物、私が感心したフィナンシャル ジャパンの表紙のツーショット写真が実は羨ましかったのではないか。よく言われることだが、男の嫉妬ほど質の悪いものはない。しかも、その劣情を日銀総裁やメディアの中立性だとか、もっともらしい話にすり替えて、本人は説教を垂れたつもりになっているのだから、まったくもって始末が悪い。

「花盗人」という言葉は、桜の花を手折って咎められた盗人が、「美しさに誘われて~」と歌を詠み、花の美しさに対する一途な心情とその歌が風流だったことから許されて、酒を振る舞われたという故事を題材とした狂言に由来している。花盗人を名乗るなら、スゴイものはスゴイと素直に認める、余裕と風流の精神を持ってほしいものだ。

既成メディアとブロガーに代表される一般ピープルの間に緊張感が生まれている。わたしのブログでも共同通信のブログ休止問題読売新聞の社説問題を取り上げたところ、大きな反響があった。ブログに代表されるメディアツールを広く一般の人々が手にしたことで、既存メディアカンパニーが寡占してきた情報発信機能の解放が始まっていると見るべきだろう。フィナンシャル・ジャパンの冒頭には、こうしたメディアの地殻変動を捉えて、この雑誌を創刊したのだという宣言がはっきりと書かれている。

 今春ある報道メディアが、ネット上で堀江貴文ライブドア社長の批判を展開したところ、個人から大量の反論コメントを浴びて、逆に袋叩きに遭ってしまいました。それ以来、その報道メディアのサイトは停止されたまま。メディアは無抵抗の取材先を殴ることには長けていますが、殴られ弱いという弱点を衆目にさらしてしまったのです。しかも、メディアはその事実を記事に取り上げようとしません。また、九月半ばのプロ野球ストに際して、自社の利益を最優先した大新聞が「ファンを裏切る億万長者のスト」と題した社説で選手会を痛烈に批判したことに対しても、その我田引水ぶりに怒り心頭に発した個人はネット上の「個人新聞」で反対デモを繰り広げました。・・・中略・・・すでに読者は、メディアもインターネットと同様、玉石混交であることを認識してしまったのです。だから、メディアに対する読者の視線は厳しくなるばかりなのです。・・・後略・・
<フィナンシャル ジャパン創刊の辞・伯楽宣言!>より

花盗人という人物は、少なくともフィナンシャル ジャパンを手にして、この文章も読んでいることだろう。ここで言われているメディアのパラダイムシフトについて多少でも理解した上で、先に紹介した支離滅裂な批判を展開したのだとすれば、二重にその不明を恥ずべきである。フィナンシャル ジャパンのようなメディアが大手マスコミの枠外から生まれてきているという事実にこそ注目すべきであり、もっとそのことを懼れるべきである。
「花盗人」などと風流を気取り、偉そうにご託宣を垂れていると、木村剛という「大泥棒」にいつの間にか母屋ごと盗まれてしまうかもしれないよと、老婆心ながら忠告しておこう。

(カトラー)


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コメント

いや~経済には苦手な僕でも、非常に楽しく読ませていただきました。話をわかりやすく書いてくださっているので、ありがたかったです。
本当に笑っちゃう話題ですね~。

投稿: りんもん | 2004.11.06 19:06

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