« 中小企業向け金融の再生への道 | トップページ | 讃岐饂飩 根の津の官能的なうどん »

ゲイカルチャーが支える2005年のエンタメ

matsuken_sanba   紅白歌合戦:視聴率初の40%割れ 関東、関西地区(MSN Newsより)

昨年大みそかに放送された第55回NHK紅白歌合戦の平均視聴率(総合テレビ)が2日、ビデオリサーチから発表された。関東地区は前半(午後7時半~9時20分)が30.8%(前回35.5%)、後半(9時半~11時45分)が39.3%(同45.9%)で、後半は2部構成になった1989年以降最低、初の40%割れとなった。関西地区も前半28.5%(同37.0%)、後半38.6%(同45.7%)と過去最低。

毎年、低落を続けていたNHK紅白歌合戦の視聴率が40%台を割り込んだことがニュースとして取り上げられている。

今年は、紅白歌合戦の元番組プロデューサーが制作費の着服などを理由に逮捕された不祥事が重なったこともあり、動向が注目されていたが、冒頭のような厳しい結果となった。
私が子供の頃は、どの家庭でもデレビは1台きりしかなく、大晦日はコタツに入って紅白を見ながら年を越すというのが当たり前の風景で、紅白はまさに「国民的番組」あった。しかし、「国民的歌手」という言葉が死語になりつつあるように、家族で一つの楽しみを共有したり、テレビの前に家族が集まるという習慣そのものがなくなりつつある。紅白歌合戦という番組自体、その社会的な使命を終え、高度成長期の日本の残影のようなものになってしまったといえるだろう。

紅白の瞬間視聴率というのも公表されているが、最高視聴率を記録したのは、あの「マツケンサンバ」だった。個人的に言えば、この手のキワモノ系は好きな方なのだが、カトラー家の奥様などは、踊るマツケンを見て「とても痛々しくて見てられない」という感想を漏らしておられた。暴れん坊将軍として渋さで売っていた松平健が、ヒカリものを身にまといサンバを踊るというのだから痛々しいという気持ちもわかるが、私の見るところ当のマツケンには恥ずかしさや衒い(てらい)のようなものは全く感じられない。たぶん彼自身、このパフォーマンスを好きでやっているのだと確信した。どうして好きでやれるかといえば、たぶんマツケンが「ゲイ・ピープル」だからだと推測している(間違いない!)。

マツケンサンバはカミング・アウト・ソング

酉年にちなんでいえば、「ゲイ」とは孔雀に例えられる。雄の孔雀があの美しい羽根を広げるのは雌に対する求愛行為と考えられているようだが、むしろナルシズムに近いのではないかと思う。「キレイなアタシを見て~」というメッセージなのだ。少なくとも人間の「ゲイ・ピープル」の場合は、ヒカリもの志向は、お家芸であり、ある種のナルシズムの発露だということは、美川健一やエルトン・ジョンのことを思いおこせばわかるはずだ。マツケンがゲイであることは、業界だけでなく、今や世間の常識として語られているが、この「サンバ」によって、マツケンとすれば、作られたイメージではなく、彼自身の本質に根ざした自己表現を獲得できたのではないか。その意味では「マツケンサンバ」とは、松平健のカミング・アウト・ソングといえるかも知れない。

そして、ゲイ・カルチャーを産業的に支えているのは、実は「オバサン」である。歌舞伎の女形から、下町の玉三郎こと梅沢富美男、そしてマツケンにいたるまでオバサンパワーによって支えられてきた。韓流ブームのヨン様は、ゲイ・ピープルではないと思うが、ノリとしては同じものがある。日本のエンタメのブームは、これまでは若者が牽引していたが、2004年のブームの推進者となったのは、明らかにオバサンとオタクであった。ブームの推進者になるとは、わかりやすくいえば「追っかけ」をするほどの情熱と性的リピドーがあるということだ。見渡せば、こうしたエネルギーを放出しているのは、今の日本ではオバサンとオタクしかいないかも知れない。

(カトラー)

<関連記事>

・n個のヲタとマツケンサンバ
・n個の性とナルシス

|

« 中小企業向け金融の再生への道 | トップページ | 讃岐饂飩 根の津の官能的なうどん »

コメント

ひゃー!
オバサンでオタクですよ、私!
いや、韓流にもマツケンにも興味はありませんが、今年の年越しはDVDで初代「機動戦士ガンダム」鑑賞会でした…家族で。
夫は戦艦の知識を息子に伝授しはじめてるし、プラモは作るし、まるで「ヲタ養成ギプス」!
息子たちも立派に腐り始めて、感度良好、オタク街道ぶっちぎりバリバリですー。
小学生のガンプラ熱、「あの情熱は何?どこから知識を仕入れてくるの?」とおっしゃっていたお母様に「それを言うならあなたの韓流は?」と申し上げたこともございます。
オバサンとオタクが育てている子供たちが、次世代サブカルチャーになることは間違いございません!

投稿: わに庭 | 2005.01.13 13:08

マツケンサンバをはじめてNHKで見たときには、マツケンさんどーしちゃったの?という感じだったんですが、すごいもんですね。
最近の新譜をみていたら、マツケンジャズバージョンというのがありました。
ちょっと聞いてみましたけど、マツケンがサンバでジャズで、なんだかそれをサラリとこなしているので、ゲイであるかそれともコレこそ芸であるかはともかく、ああ大物だなぁと思いました。はい。

投稿: Tinkle | 2005.01.13 19:47

そうか~。
ゲイか~。
でも、あそこまで吹っ切れちゃうと、むしろ芸のうちでしょうね。

週刊文春のコラムで小林信彦が「ひとり・ええじゃないか」と指摘していることに、激しく同意。

時代の空気を読みきった(誰だか知らないけど)プロデューサーに満腔の敬意を表するとともに、平成版ええじゃないかを成立せしめた世相にうそ寒さを覚えたりしています。

投稿: Fireside Chats | 2005.01.14 04:19

皆様、コメント書き込みありがとうございます。

ブログに書いたら、マツケンサンバにはまっている自分を発見してしまいました。
家人が寝静まったリビングで、独りマツケンサンバのステップをやってみたりする自分が怖い!
結構難しくてなかなかうまくステップ踏めません。今晩も練習しなくっちゃ。

本年もよろしくお願いします。

投稿: katoler | 2005.01.18 00:30

 細かいことですが、松平健が「このパフォーマンスを好きでやっている」のなら「衒」っているのでは?
「照れ」はないかもしれませんけども。

投稿: ( ・ω・)っ | 2005.03.13 01:08

Thank you very much.n

投稿: dirk | 2007.07.19 00:59

Thank for making this valuable information available to the public.

投稿: Melly | 2007.09.25 06:54

...please where can I buy a unicorn?

投稿: FeennaCoulvartonoJah | 2009.12.15 06:59

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ゲイカルチャーが支える2005年のエンタメ:

» ゲイカルチャーが支える2005年のエンタメw [1yard]
日本振興銀行の記事をこないだ、たまたま新聞で読んだので、普段は、見もしない(センスも顔も受け付けないので)週刊!木村剛をつらつら眺めてた訳です。 で、そこ... [続きを読む]

受信: 2005.01.22 13:17

» マツケンサンバはゲイカルチャー? あとヴィレッジ・ピープルの話 [犬にかぶらせろ!]
地獄変00さんのこのエントリがおもしろかった。 [http://blog.livedoor.jp/jigokuhen00/archives/16000929.h... [続きを読む]

受信: 2005.03.10 08:48

» Phentermine. [Generic phentermine.]
Phentermine. Cheap phentermine free shipping. [続きを読む]

受信: 2007.04.04 18:19

» 芸能界の噂 [芸能界の噂]
[続きを読む]

受信: 2007.07.09 11:18

« 中小企業向け金融の再生への道 | トップページ | 讃岐饂飩 根の津の官能的なうどん »