リターンマッチの行方
共同通信のブログ「署名で書く記者のニュース日記」に小池編集長が復帰していることが、週刊!木村剛に取り上げられている。
ライブドアの堀江社長を「スノッブだ!」と断じた記事にブロガーの抗議コメントが殺到し、ブログ自体が休止に追い込まれた。8月末にブログそのものは再開していたが、小池氏の記事は再開時以降は、登場することがなかった。
この間、この事件について何度か取り上げさせてもらったが、当事者の小池氏が沈んで浮かび上がれない状況が続くことが一番残念と考えていたので、本格復帰をまずは祝福したい。このリターンマッチで小池氏が健筆をふるわれることを期待している。
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シリコンバレーでは紙媒体のリターンマッチ
さて、同じリターンマッチでもシリコンバレーでは、休刊したベンチャー系の雑誌が復刊しつつあるようだ。siliconvalley.comに以下のような記事が出ていることを同僚が教えてくれた。
Tech mags return, but can they survive?
A host of new business and technology-related magazines are hitting the market, thumbing their nose at conventional wisdom that the Internet will stifle print publications.The latest to launch is Boston-based Forrester Magazine, arriving in February. It's aimed primarily at high-ranking executives, with a ``disproportionate amount'' of its 40,000 readers expected to be in Northern California. Forrester joins four other new magazines -- a revived Red Herring, Tech Confidential, AlwaysOn and a refurbished MIT Technology Review.・・・・・(siliconvalley.comより)
Red Herringなど、かつて一世を風靡し、ネットバブルの崩壊とともに休刊に追い込まれていたたテクノロジー系の雑誌が復刊しているというレポートなのだが、以前と異なるのは、紙(雑誌)が中心でそれをネットがサポートしていた形から、逆に紙がネットをサポートする関係に変わっている点だとという。ブログ機能を取り込んでいることも最近の大きな特徴だ。こうしたことがMagazineならぬ「Blogzine」と表現されているようだ。
ここ数年で海外のBtoB系の出版社は、こぞってインターネットへのシフトを強めている。コンピュータ関連分野で数多くの出版物をかかえるIDG(米国)は、今後、5年以内に売上の50%をネットで占めるように業態を進化させると宣言している。そう宣言することで、内外にゴールを示し、ネットへのシフトをさらに加速させる狙いがあるだろう。また、その背景として海外の場合は、限定された読者リストに対して無料で配布する「コントロールド」方式の手法で数多くの雑誌が発行されているため、ネットに移行すると、紙・印刷・送本費用などがカットできるという事情もあるようだ。IDGは正にこのケースで、フリーマガジンとして発行している数多くの雑誌を次々とネット化していけば、収益性をあげながらネットの売上比率を50%に高めることも達成可能な目標になる。ネットの売り上げが50%に達する、もしくは越えるということは、その時点で紙(雑誌)を中心とした旧来の「出版社」ではなくなるということを意味する。
翻って日本の場合はどうだろうか。そこまで徹底したインターネットへのシフトを行っている出版社、新聞社は皆無だ。販売収入に依拠しないフリーマガジンが米国のように多くはないので、単純に情報の提供手段をネットに置き換え、コスト削減を図るわけにもいかないという事情もある。なによりも、出版マスコミの世界はもともと保守的な人々が多く、紙とネットの間に空いた裂け目を飛び越えることが怖いのだ。
なぜ、米国のメディア企業は、ここまでネットへのシフトを強めなくてはならないのだろうか?その理由は、こうしてブログを読んでいるあなた自身のことを考えて見ればわかるはずだ。かつて朝のオフィスでは、デスクでコーヒーを飲みながら新聞をひろげているというのが当たり前の風景だったが、今は皆パソコンに向かっている。オフィスで1日中パソコンに向かっている人も少なくないだろう。仕事の情報を得る手段は紙ではなくPC/ネットになったということだ。情報の送り手側にとっては、紙に固執することは単に郷愁に過ぎなくなった。
(カトラー)
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