迫り来るTOKYOテロ攻撃の可能性
Al-Qaeda 'planning Pacific attack'
AL-Qaeda is preparing an attack on a big financial centre in Asia, such as Tokyo, Singapore or Sydney, to undermine investor confidence in the region, France's top terrorist investigator has said.
自爆テロ解散だ、刺客だと言葉尻こそ過激だが、基本的には相も変わらず脳天気な話に終始している日本のマスコミだが、ロンドンやスペインで仕掛けられたようなテロ攻撃の可能性が首都、東京に刻々と迫っていることについて報じることはほとんどない。
先週の金曜日、Jean-Louis,Bruguiereというフランス人のテロリズムの権威が、フィナンシャルタイムスのインタビューに答え、アジアのフィナンシャルセンターに対してアルカイダがテロ攻撃を仕掛ける可能性が高まっているという認識を示した。このレポートを受けて、数多くの海外メディアがアジア地域におけるテロ勃発の危険性について報じている。
In an interview with the Financial Times newspaper, Jean-Louis Bruguiere added that several Asian countries are less prepared than Britain or the US for such an attack.
"We have elements of information that make us think that countries in this region, especially Japan, could have been targeted" by the al-Qaeda network, the investigating magistrate said.
"Any attack on a financial market like Japan would mechanically have an important economic impact on the confidence of investors. Other countries in this region, such as Singapore and Australia, are also potential targets."
この記事からもわかるように、Bruguiere 氏はアジアのフィナンシャルセンターの中でも東京がターゲットになる公算が強いと述べている。ロイター電の記事などでは、日本には既にナイジェリアや南アフリカからの相当数のイスラム教徒が不法入国しており、テロリストに対して無防備であることが指摘されている。
このブログでも、先にエントリーした記事において衆議院の選挙期間中にテロ攻撃を受ける可能性について指摘した。海外メディアもその可能性に言及しはじめているのに、当の日本のマスコミは、どうしてこうした問題をまともに取り上げないのだろうか。イラクに自衛隊という軍隊を派遣したことで、それとひきかえに引き受けることになったテロの脅威を現実のものとしてイメージできない、いびつな言語空間、思考様式がこの国には存在する。
今、東京でテロ攻撃が仕掛けられたら、米国や英国のように危機バネが働き、国民の求心力が高まるような状況を想像することは困難だ。日本人の多くは、自衛隊のイラク派遣に大義を感じていない。米国につきあって仕方なく出ていると思っている。他国のように徴兵制もないわけだから、イラクへの派兵はつまるところ自分の問題ではなく、「自衛隊がかわいそう」と同情していれば済む問題だと思っている。政治家だって本音は同じだろう。
そうした中、仮に首都、東京でテロが発生し、死者が出るような事態となったら、この国の国民の多くはパニック状態に陥ってしまうだろう。小泉首相がそれでも「殺されても派遣はやめない」と叫んだら、今度は間違いなくピエロになってしまうか、独裁者として糾弾を受け、追放されるに違いない。
国民が威勢のいい首相の啖呵に拍手喝采を送るのは、自分の身は安全だとわかっているからであり、殺されるのは自分(国民)かもしれないということが意識された途端、その態度は豹変するだろう。
このことは卑怯者とかテロに屈した腰抜けとか、そうした形で語られる倫理的な範疇の問題ではない、この日本という国の国民の能力の問題だ。「テロとの戦い」等という抽象度の高い、しかもそれ自体うさんくさい「大義」のために自分や自分の家族の命をひきかえにできるほどの成熟した国家意識を幸か不幸か、日本人は持ち合わせていない。戦争放棄を憲法でうたっている、この日本で「やられたらやりかえす」式の喧嘩の論理が人々の本音としてまかり通るとはとても思えない。だとすれば、国内でアルカイダによるテロ攻撃が生じたら、その現実を消化できずに思考停止に陥る人々が続出してくるだろう。テロの一撃によって、暴力やテロリズムを隠蔽することで成立していた戦後の「平和主義」や「民主主義」が、あたかも湿気を孕んだ砂糖菓子のように輪郭を無くし、グズグズと溶け去っていく現実を目の当たりにすることになるのかもしれない。
ここまでの話を読んでも、テロの危機が目前に迫っている現実を実感できないという輩は、地下鉄の霞ヶ関駅の構内をちょっと気をつけて歩いて見ればよい。そこかしこに監視のための警官が立っていることに気づくだろう。無差別テロを想定した警戒態勢は明らかに強められている。
(カトラー)
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コメント
少し付け加えるなら、東京都心にかかわりのある人間か、そうでない人間かでも反応の仕方に差があるでしょうね。
僕のような田舎住まいの人間にとっては、テロは現実味のない話ではあります。
投稿: ひろ | 2005.08.30 00:57
イスラム原理主義にとってアングロサクソン的価値観や文化やグローバリズムの強要、構造的絶対的な貧富の差、英米たちに都合の良い体制の支援といったモノが本質的に受け入れ難いモノである以上、それらに強く抵抗してこそ敵ではないという認識の入る余地があるモノの、現世界を構成している構造そのものが自分たちを否定していると考えてる以上、その重要な構成物や制度は破壊の対象だと思う。
この場合はイラク戦の支持不支持は相対的な物差しでしかない。
またテロを根拠に自衛隊を撤収すれば、超法規的処置を執った淀号事件が凡そ法治国家として信用を失わせたように、国際間の信用をイラク戦に反対した国々からも失います。
冷ややかな同情ぐらいはされるでしょうが。
グローバリズムに反対なら反対で良いし、イスラム原理主義に同情できる面があるというのならばそれはそれで評価し対応しようもありますけど、国際間の信義は信義として通すべきだと思います。
が、カトラーさんの想定するような力は強烈に働くでしょうね。
思考停止に陥る人を一方に放っといて、「殺されても派遣はやめない」と単純化せずに、テロの有る無しに拘わらず国家意識の成熟した層が芽生えることを切に期待します。
投稿: トリル | 2005.08.30 02:08
うちの会社では幸いにしてFTを取っているので先週の金曜日の一番の話題でした。
東京証券取引所や港区のそこかしこ或いは
霞ヶ関のあたりには近づかないようにしようと
いうことになりました。すくなくとも選挙が終わるまでは。効果を最大にするには選挙の前日あたりが怖いわけで10日前後が???かなという意見も出ました。
なるべく混雑しているところにはいかないことでしょうか。
投稿: mamu | 2005.08.30 15:16
最近、人ごみを見ると「ここでテロが起こったら」とふと思います。
8.15に靖国神社にいったら長蛇の列。ずいぶん警官はいたけど、自爆テロは防げないでしょう。20万人参拝運動なんて危機管理意識がない。
九条の会、有明集会というのも1万人足らずの人が集まったといいます。今のテロはターゲットを政治的意味で選ばすに、パニックを狙っているとしたら、こういう大勢の人を集める形の集会というのも時代遅れというか危ないというか。
まあ、もっとも危険なのは官庁、経済センターに近い地下鉄でしょうけど。
テロリストは空売りなどで、マーケットで儲けられるのでしょうか。
投稿: kuroneko | 2005.08.31 09:25
こんばんは。
以前REIというハンドルネームでコメントいたしました。
スパイスカフェごはん食べに行ってます。
バグダッドの流言による大惨事は驚きでした。
~殺すにゃ鉄砲は要らぬという諺そのままです。
いずれにしても大群衆が集まる場所は
何が起きるか解らないという恐怖を
再び眼前に突きつけられたわけですよね。
身を守る手段はあるのでしょうか
投稿: bikki | 2005.09.01 21:53
皆さんコメントありがとうございます。
bikkiさんがおっしゃるように、現実の脅威より、大衆心理や流言によるパニックの方を恐れる必要があるのかも知れません。先日の英国の対応などを見ていると、罪もないブラジル青年がテロリストと疑われ、射殺されるような過剰反応もありましたが、一般市民は比較的冷静に対処していたのではないかと思います。それだけ、ああした事態が起こりうるといくことについて覚悟ができていたのでしょう。
日本の場合は、私も含めて、そんな覚悟はできていないのでパニックが生じる可能性が高いと思います。
金融センターをねらう可能性があるという、今回の話が不気味なのは、kuronekoさんがご指摘のように、金融マーケットそのものにテロを仕掛けるという発想がテロリスト側に生まれていることを示しているからです。
テロの手法も高度化していくということだと思います。
投稿: katoler | 2005.09.02 10:54
アメリカのイラク戦争の目的は、今更言うまでもなく石油採掘利権です。日本が憲法論議まで放棄して自衛隊を派遣した理由もそこにあり、国益に根ざした政策です。UAEの原油もあと20年とか言われてますから、イラク国土の未開発原油利権の確保は、資源を持たない島国として当然の国策です。
でも、国際的にそんなことを大っぴらには言えません。さすがに大量破壊兵器とは誰も言わなくなりましたが。でも、新聞にもテレビにも出ない、この外交問題こそ、今回の選挙の最大のポイントです。
テロの標的になることを引き換えにしても、死守しなければならない国益追求と言うものがそこにあります。小泉をアメリカの犬とか馬鹿呼ばわりするのはかまいませんが、自国の国益には十分に敏感であって欲しいものです。
投稿: クロフネ | 2005.09.05 17:13
東京駅の警戒は、イラクへ自衛隊を派遣した頃から結構強化されてきたと思いますが、ときどき、とんでもない田舎の道で、テロ警戒の看板が立っていて、こんなところでテロを起こす馬鹿はいないだろうと思うのですが、そういったことも含め結構社会コストがかかっているように感じます。そうそうオフィスの近くに中国関係の施設がありますが、こっちもいつも小型の装甲車が来ていて、相当警備コストをかけてます。
投稿: 大西宏 | 2005.09.07 13:16
>イラクへ自衛隊を派遣した頃から結構強化されてきたと
それを言い出したら、今まで余程無警戒だったとも言えるのではないでしょうか?
原発警備とかは北のコマンドも警戒対象になってるのと違いませんか?
近年までは近海での不審船が結構好き勝手やってたようですし。
投稿: トリル | 2005.09.07 14:42