パリが燃えている
連夜の暴動、パリ市内にも 車などに放火
パリ(CNN) イスラム系移民の少年が警察から逃げようと感電死したとされる事件をきっかけに、パリ北東や北部の郊外地区で先月下旬から拡大した暴動は6日早朝までに、パリ市内にまで波及した。パリ市内東部のレピュブリック広場でも、車が数台燃やされた。
パリの暴動が収まる気配がない。先月末、パリの郊外のイスラム系移民の居住区から始まった暴動が、他の郊外部や地方にも波及し、パリ市内にも及んでいるという。
日頃、日本のメディアを通じて「パリ」の情報を得ている日本人の多くにとって、このニュースは、「パリで暴動?しかも、その火が全国に波及している?」と意外な感じて受け止められているかも知れない。先のエントリー記事でフランスの出生率が、手厚い育児奨励策によって上昇に転じており、その牽引役になっているのが、ボボ(ボヘミアン・ブルジョアジー)と呼ばれる新しい富裕層だと述べたが、実は、移民層の存在も出生率の上昇に大きく関与しているといわれる。
フランスは、昔から移民に対して寛容な政策をとってきた。フランスのナショナル・サッカーチームのメンバーが、ジタンをはじめとして、ほとんど移民の子によって占められているのを見ても明らかなように、北アフリカ系、イスラム系の移民2世、3世が、急速にフランス社会の中で存在感を増している。フランスのエスニックカルチャーにも詳しい、にむらじゅんこさんによれば、フランスという国は、世界中の圧政を逃れてきた人々を人種、宗教、政論、社会的地位を一切問わず受けいれる「地球の安息地」になることを宣言している唯一の国で、そのことが、フランスは世界の中心であるという自負にも繋がっているのだという。実際、パリに行けばすぐわかることだが、日本のメディアが「パリ特集」などを組んで紹介しているような、小粋な「パリジェンヌ」が闊歩しているといったシーンにお目にかかることはむしろまれだ。パリでメトロに乗れば、アフリカ系、イスラム系のエスニックな顔がずらりと並んで座っていて、とてもヨーロッパとは思えない。エスニック・マイノリティのフランスの全人口に占める割合は既に8%にも達しており、フランス国内のイスラム教徒も300万人を数え、キリスト教についで第2の宗教になっているといわれる。
世界中から移民や難民を受け容れると宣言していることが、フランスという国の理念を示した輝かしい面だとすれば、今回の暴動に象徴されるフランス社会が抱えてしまった「階層化現象」は、その対極にシャム双生児のように生まれてしまった暗い問題といえるだろう。その階層化による格差は、年々広がり、しかも固定化してしまっていて、イスラム系居住区では失業率が30%にまで達しているという。こうした環境下で未来に絶望した若者達の怒りが、暴力行為や宗教問題、あるいは民族問題という形をとって噴出してきているということを知らなければ、今回の暴動の本質を理解できないだろう。まずいことには、治安担当責任者であるサルコジ内相という人物が、暴動を起こしている若者達を「社会のクズ」呼ばわりしたことも、燃え上がる怒りの炎にさらに油を注ぐ形になった。
この不適当発言の責任をとらせるか、あるいはもっと強硬な鎮圧手段を講じるか、フランス政府のこの問題に対する今後の対応は予断を許さないが、何とか暴動を沈静化させることができたとしても、おおもとの火種は消えることはないだろう。そして、同じような若者達の反乱は、移民問題を抱える他のヨーロッパ諸国や、米国、さらには、この日本だって、いつ飛び火してもおかしくない状況にあると考えている。ハリケーン「カタリーナ」が米国のニューオリンズを襲い、治安維持ができなくなった街では強盗や略奪が横行し今回のパリの暴動と同じ場面が繰り広げられた。その映像をCNNなどで見ていたパリ市民たちは、数ヶ月後、同じようなカオスのただ中に自分たちが置かれることになるとは誰が想像しただろうか?
確かに日本には、フランスのような移民問題こそ存在しないが、大きな閉塞感を抱いている、ニートやフリーターと呼ばれている若者たちの存在がある。職はあったとしても将来展望を描けない、その日暮らしの仕事に明け暮れるだけという境遇に置かれた彼らは、今のところ羊のようにおとなしいように見えるが、喩えていえばカラカラに乾いた薪のようなものだ。誰かが火を投げ込めば、あっという間に激しく燃えさかるに違いない。
(カトラー)
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コメント
>誰かが火を投げ込めば、あっという間に激しく燃えさかるに違いない。
この下りどうなんでしょ?阪神大震災の時は、比較的平穏だったような気がしますが。。
もっと、自信を持ったほうがよいのでは?
投稿: ひろ | 2005.11.09 00:12
私もひろさんと同意見です。ニートやフリーターは山谷や愛麟地区の予備軍としての存在ではないと思います。9歳で丁稚奉公や農作業に従事したり、14歳で元服 嫁入りした時代から 中卒で金の卵になった時代を経て、18歳か20歳 22歳で就職すると言う安定した時代を超えて、浪人留年休学留学、専門学校のはしごから 大学へ入りなおすなどなど、大人になる年齢が30歳に迫ると言う人類の未体験ゾーンへ 豊かな日本は突入したのではないでしょうか。
考えられる原因としていくつかあるようです。食住に困らない豊かさと平均寿命が延びたことや職業の専門化で教育に時間をかけなければならに事などです。
なにより職業選択の自由つまり何にでも成れる可能性の存在が子供特有の万能感とあいまって、彼らに予想以上の苦悩を与えているのではないでしょうか。
否応なく新たなステージに彼らは乗ってしまっただけでなのですから、若者のエネルギーの発散程度の騒ぎ(成人式での飲酒や暴走行為など)は起こるでしょうが、フランスや中国のような政治的経済的不満で集団的犯罪行動に出る事は考えられません。精神的苦悩は至って個人的なものです。
小泉の街頭演説に触発されて投票行動に出てしまうのが彼らなのですから、日本の将来は案外明るいのかもしれません。
投稿: 武井 | 2005.11.10 12:05
日本には在日朝鮮人という移民問題が存在しますよ。
投稿: surface | 2005.11.10 14:49
>日本には在日朝鮮人という移民問題が存在しますよ。
このまま進めばあと10数年でこの問題はほとんど消えると思います。
それより現在進行形の海外移民の動向が気になります。中部地区某車大メーカーおひざもとの住宅団地はほとんどブラジル系住民で占められてる地区もあると聞きました。W杯の時の騒ぎは日本と思えなかったとか。
まあ自分も裏取ってる話じゃないし、今んとこ一部の荒っぽい連中以外はまあまあ普通に生活してるみたいだし、変な言い方はしたくないですが、ゲットー化の可能性はあるかも。
投稿: | 2005.11.11 00:04