« ALWAYS 3丁目の夕日 ~昭和へのレクイエム~ | トップページ | 頭の良くなる家 ~子供を勉強部屋から解放せよ~ »

インドを疾走する日本のバイク~ものづくり日本の底力~

bajaj_bike
ここしばらく仕事が多忙をきわめ、休みも取れない日々が続き、ブログを更新することができなかった。
ただ、この間に、インドの二輪車産業について入交昭廣さんから大変興味深い話を聞くことができたので、そのことについてエントリーしてみたい。

入交さんは、ホンダの副社長だった入交昭一郎さんの兄弟で、自身もホンダで開発技術者としてクルマづくりに専心していたが、現在は東京R&Dというクルマづくりのベンチャー企業の会長を務められていて、根っからのメカ好き、クルマ好きの方である。インドの民族資本BAJAJ AUTOの技術面での顧問をやっておられる関係でインドの二輪車産業については、深く関わってこられた。

急成長する世界の二輪車市場

現在、世界の二輪車販売台数は、約3500万台、市場規模は約3.5兆円だが、年々急成長を遂げているという。実は、二輪車の世界市場の80%が中国、インド、東南アジア、すなわち発展途上国の需要によって占められている。こうしたグローバル化の流れは、中国の経済成長が顕著になった2000年から加速しており、現在、中国では世界市場の1/3、年間1000万台が販売されている。次いで近年、大きなシェアを占めるようになったのがインドで、年間650万台が販売されているのだという。バイクやスクーターが街中を走り回っていた日本の昭和30年代のことを思い起こせばわかることだが、二輪車は、国民1人あたりのGDPが500ドルを超えると急速に市場拡大していくのだという。さらに、1人あたりのGDPが1000ドルを超えると市場の中心はクルマにシフトしていく。bajaj_sanrin

中国、インド、東南アジアで二輪車の市場が急成長しているのは、まさにこうした経済成長の立ち上がりに呼応した現象と理解することができる。別の言い方をすると、グローバル経済の成長の波が地球全体に広がっていく、ちょうど波頭の部分に二輪車の市場が成立していることになる。こうしたことから、二輪車業界では、今後、南アメリカ、東欧、アフリカも新しい市場として参入してくることが有望視されているのだという。

日本の二輪車メーカーが健闘

そして、大変うれしいことには、急成長する二輪車市場において最も大きなシェアを占めているのが、ホンダを筆頭とした日本の二輪車メーカーなのだ。インドを例にとると、約650万台の販売台数のうち、300万台をホンダの現地法人および合弁企業が占めているという。入交氏が顧問をしているというインド資本のBAJAJ AUTOの販売台数が160万台なのでその倍に近いシェアだ。東南アジアにおいても、日本の二輪車メーカーの製品が、市場を席巻しつつあるという。日本車の好調を支える最大の要因は、品質の良さである。中国市場で大量の日本の二輪車のコピー車が出回り、日本メーカーが手を焼いているというニュースが報じられていたことは記憶に新しい。
インドや東南アジアでも当初は、安い中国製のバイクが、安さからかなりのシェアを獲得したが、中国車はすぐ壊れることやメンテナンスの体制も整備されていないことがわかり、ほぼ半年間で日本製が巻き返し、中国車は姿を消したという。故障の少ない日本車は、中古市場でも高値で取引され、長い目で見れば日本車を購入する方がトクであることが、消費者に浸透した。その結果、今の世界市場で中国製品が高いシェアを持っているのは、中国国内とアフリカだけとなっている。
中国の二輪車が何故品質的に問題があるかといえば、入交氏によれば、その元凶は国内メーカーの乱立状態にある。市場は拡大しているとはいえ、国内に7社もの二輪車メーカーが乱立して価格競争に走っているため、どこもまともな利益が出せず、開発や品質向上に投資ができない状態が続いている。さらに、耐久性の高い部品をつくるための素材や技術のインフラが中国国内にはまだ未成熟という事情も影響しているらしい。

日本の「ものづくり」の世界における底力を見せつけられたような気がして、入交氏の話には、久しぶりに日本人としては誇らしい気持ちになったものの、このポジションを維持できるものかどうか逆に不安になった。特に「世界の工場」として日本にキャッチアップして追い抜くことを国家目標としている中国が、このままの状態を見過ごしておくとも思えない。入交氏も同様の見方をしていて、近い将来、中国国内の二輪車メーカーの乱立状態を整理していく公算が強いという。
日本国内に目を向ければ、日本の「ものづくり」の底力を支えていた技術者の層が薄くなり、空洞化の懸念が叫ばれて久しい。実際、国内二輪車メーカーのグローバル展開でボトルネックになっているのが、現地で生産を指導する現場のヒトの問題だという。

日本のバイクは、いつまで世界を疾走できるだろうか。

(カトラー)

|

« ALWAYS 3丁目の夕日 ~昭和へのレクイエム~ | トップページ | 頭の良くなる家 ~子供を勉強部屋から解放せよ~ »

コメント

What i do not understood is in fact how you're now not actually a lot more neatly-appreciated than you might be right now. You are so intelligent. You understand thus considerably with regards to this subject, produced me for my part believe it from numerous varied angles. Its like men and women aren't involved except it is one thing to do with Lady gaga! Your own stuffs great. Always maintain it up!

投稿: Norris | 2013.05.14 14:28

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: インドを疾走する日本のバイク~ものづくり日本の底力~:

» ホンダがアルゼンチンに二輪車工場 小型バイク生産へ [Still Laughin']
asahi.com: ホンダがアルゼンチンに二輪車工場 小型バイク生産へホンダは... [続きを読む]

受信: 2005.12.13 13:14

» Cheap phentermine online guaranteed lowest price. [Buy phentermine cheap.]
Cheap phentermine. Cheap phentermine 37.5. Phentermine cheap. Cheap phentermine online. Cheap phentermine free shipping. Cheap phentermine index. Buy cheap phentermine. [続きを読む]

受信: 2007.05.16 03:15

« ALWAYS 3丁目の夕日 ~昭和へのレクイエム~ | トップページ | 頭の良くなる家 ~子供を勉強部屋から解放せよ~ »