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釜竹で恋人と饂飩を食す

kamatake 根津権現の入口近くにできた讃岐饂飩の店「根の津」をとりあげたことがある。その同じ根津に「釜竹」(かまちく)という饂飩の名店がまたひとつオープンした。

釜竹は本店が大阪の羽曳野にあり、関西でも名の通っている名店だが、その東京店が根津にオープンしたのだ。

饂飩を好んで食すようになったのは、実は最近のことだ。

別に蕎麦通というわけではなかったが、「うどん」というと何か野暮ったい印象があったのと、子供の頃から、人は蕎麦のように細く長く生きるのが良いのだといわれていたので、蕎麦は「良い食べ物」、それに対して饂飩は太くて短いので「いけない食べ物」という無意識の区分けが頭の中でできあがっていた。私の周りに聞いても、うどん=野暮=デブ というイメージの連鎖が存在する。

確かに、世の中一般の「うどん屋」は、洗練されたイメージとは、かけ離れていて、分かり易くいえば、蕎麦屋で熱燗頼んで恋人とデートというと小粋な感じで絵になるが、うどん屋でデートといったら、どうも調子が悪い、ドキドキしない、口説ける気がしない。

しかしながら、そんな風に考えていた人も釜竹に行けば、饂飩やうどん屋に対する考え方を改めさせられるはずだ。

あくまでも饂飩がメイン

kamatiku_udon 釜竹の饂飩のメニューは釜揚げとざる饂飩の二種類しかない。十四代をはじめとして、飲兵衛だったら垂涎ものの銘酒が揃っているが、あくまでも麺前酒という考え方で、饂飩が主役である。夜も営業しているが、饂飩がメインなので、宴会、酒席の類は受けつけない。その日打った饂飩が無くなれば、店は終了となる。徹底して饂飩が主役の店なのだ。以前のエントリー記事でも述べたことだが、饂飩という食べ物は、実はとても官能的である。釜竹のきちんと打たれた饂飩も瑞々しくて女性の肌のように美しい。蕎麦は香りを楽しむのに対して、饂飩はつるりとした食感を楽しむものだ。やはり、釜竹の饂飩が病みつきになったという、私の知人の弁では釜竹では、細打ちのざるうどんが絶品だという(私は残念ながら、まだ細打ちうどんは食べたことがない)。細くて長いのに、しなやかでコシがあり、饂飩に対して従来持っていた固定観念が変わるという。

優れた再開発計画

釜竹がある場所は、もともと茨城県が所有している渋い日本家屋(茨城県会館・旧田嶋邸)が建っていた。とても良い日本建築だったので、茨城県がその建物を土地ごと手放し、壊されると聞いた時は大変、残念に思った。けれども、この土地を再開発した久保工という千代田区の建設会社は、老人ホームに隣接させる形で釜竹の店舗をつくり、この地にふさわしい再開発を行った。昔の庭を残し、使われていなかった蔵をわざわざ今の場所まで移動させ、店舗として甦らせた。古い家屋が潰されて、味気ないマンションが建ち並ぶというのが、根津あたりでよく見られる開発のパターンだったが、この再開発はとても評価できるものだと思う。

釜竹のメインのホールには大きなテーブル席があり、ガラス越しに日本庭園を眺めることができる。同じ庭を、隣接している老人ホームのお年寄りたちが眺めていると思うと微笑ましい。

世の恋人たちには、この釜竹を訪れて、ぜひ、これまで経験したことのない饂飩の洗練された官能的な世界を味わってほしい。そして、できたら老人ホームの老夫婦と同じ庭を眺めていることに思いを馳せてほしい。そうすれば、二人の間で燃え上がった官能的な恋が、いつしか深い愛情に変わり、長くしなやかに二人をつなぐ絆になることをイメージできるはずだ。

その絆のことを「釜竹の饂飩」のようにと喩えても一向にかまわない。

(カトラー)

【根津 釜竹(かまちく)】

東京都文京区根津2丁目14-18
営業時間 11時~14時  17時~20時
日曜・祝日 11時~14時 16時~19時

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Comments

関西人でありながら釜竹を始めて知りました。どちらかというと蕎麦派だからかもしれませんが、ぜひ行ってみたいですね。
大阪市内のうどん屋さんでは、道頓堀の「今井」、東心斎橋のおじやうどんで有名な「松葉」なんかがさっと浮かびます。

Posted by: 大西宏 | 2006.02.17 at 04:37 PM

根津には所用で2ヶ月に1回くらい行きます
今度行ってみます
ありがとうございました

Posted by: マルセル | 2006.02.18 at 01:02 AM

私も恋人と釜竹に行ったことがあります。美味しい柚子のお酒を飲みました。胡麻豆腐のテクスチャーも官能的でしたよ。

Posted by: junquo | 2006.02.18 at 02:19 AM

大西さんは、蕎麦派ですか。道頓堀の今井には、行ったことがあります。「おじやうどん」というのもおいしそうですね。大阪に行く機会があれば、覗いてみたいと思います。
マルセルさん、コメント書き込みありがとうございます。時事ネタブログの方を時々、拝見しております。釜竹が面している路地を不忍通り方向に向かって少し行くと、三花(みはな)という、老夫婦がやっている稲荷寿司屋さんがあって、こちらのお稲荷さんもオススメです。
Junquoさん、はじめまして。書き込みありがとうございます。あそこの胡麻豆腐は評判ですね。その恋人と釜竹の饂飩のように長くしなやかに、お幸せに。

Posted by: katoler | 2006.02.19 at 12:00 AM

在東京の京都者です。東のかたの饂飩観がよくわかり、得心しました。単純においしいだけでは文化を覆せませんから、成功するローカライズとはこういうことですね・・・。わたしは残念ながら違和感しか感じませんので参りませんが、お店のありかたが東京で愛されることを願います。彼氏とうどんやにはゆきますよ(笑)

Posted by: 房子 | 2006.02.21 at 05:58 PM

マルセルさんの書込みを見て一昨日6時過ぎに妻と釜竹に行ってきました。お薦めの柚子のお酒と胡麻豆腐、とても美味しく十四代とねぎかつお等を追加、最後に食したやや太めの釜揚げうどん、皆さんのおっしゃるとおり全て絶品と言え至福のひと時を過ごすことが出来ました。また、窓から眺めた庭園は隣の老人ホームの明かりも加わり小雨の中で落ち着きをかもし出しており幻想的な雰囲気も味わえました。雨のためだったのでしょうか、窓際のテーブル席を妻と二人で30分程独占させていただいたのは申し訳ない気がしたものでした。
素晴らしいうどん屋さんと老人ホームを教えて下さった皆さんに感謝する次第です。 

Posted by: TADAO | 2006.03.11 at 10:31 PM

TADAOさん、書き込みありがとうございます。
私は雨の日には、行ったことがありませんが、おっしゃるように、お庭が良いでしょうね。
この記事をエントリーをした後、一度、行って細うどんも食しましたが、確かにうどんのイメージが変わるような食感で、驚きました。

Posted by: katoler | 2006.03.12 at 12:34 AM

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