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アンチエイジングという思想と美肌ブーム ~日本国不老化計画~

Saeki_bihadakakumei 今年も色々な健康ブームがあった。大ブレイクしたといえるのは、何といってもビリーズ・ブートキャンプのフィットネスビデオだが、このごろは、テレビ通販からも姿を消したし、巷の話題にも上らなくなった。日本中の老若男女が、数ヶ月前まではあれだけ熱狂していたのが嘘のようだ。たぶん、ビリーのビデオも、かつての「ぶら下がり健康機」と同様に大量の家庭内ゴミとなってしまう運命なのだろう。

過剰な健康幻想が、脅迫観念のように蔓延する日本では、健康情報は、瞬く間に消費され、すぐ飽きられてしまう。そこで、常に新手の話題、健康情報をメディアが供給するというマッチポンプ構造ができあがっていて、メディアの動向を見ていれば、次にどんなブームが到来するのか、想像がつく。来年に向かって、大きなトレンドになりそうなのが、アンチエイジングだ。

来年の大きなトレンド「アンチエイジング」

アンチエイジングは、もとは米国から渡来したものだが、日本のメディアが飛びついて、女性雑誌を中心にここのところ立て続けにアンチエイジング特集が組まれている。来年3月には、日経BPからアンチエイジングを内容の柱とする40~50代女性向けのライフスタイル月刊誌「日経ヘルス・プルミエ」が創刊されることも決まった。
アンチエイジング医学(Anti-aging medchine)は、1990年代の前半に米国で生まれた。その背景には、生化学、分子生物学の進展によって老化の原因、メカニズムが徐々に分かりだしたことがある。例えば、肌老化の原因のひとつとして活性酸素の問題がクローズアップされている。紫外線を受けた肌には活性酸素が発生するが、これが肌の組織を組成しているコラーゲンやエラスチンなどを破壊し、シワや肌のたるみが生まれることがわかってきた。老化の原因が活性酸素にあるのだとすれば、その原因を取り除けばよいことになる。活性酸素に対して、抗酸化作用のある、ビタミンCやCoQ10(コエンザイムQ10)などのサプリメントを補い、老化防止に役立てる「アンチエイジング」の方法論がこうして生まれ、サプリメントブームの原動力となった。
サプリメントだけではなく、最先端の再生医療の技術を活用した化粧品なども製品化されている。聖マリアンナ医科大学のベンチャー企業、ナノエッグは、再生医療研究の過程で開発した培養基材に自己治癒力を活性化させる機能があることを発見し、これを活用したアンチエイジング化粧品「マリアンナ ナノキューブエマルジョン<乳液>」を開発、製品化した。

Marianna_cosme ミッション系大学の名前を化粧品のブランドにそのまま冠しているのがユニークで、思わず笑ってしまったが、中世まで遡れば、修道院が、香水や薬を製造する工場だった。そのことを考えれば、化粧品のブランドに「マリアンナ」と冠するのは、むしろ自然なことなのかも知れない。この乳液は、エステサロンを通じて販売され、売れ行きは上々のようだ。今後も、再生医療、バイオ技術の進化に応じる形で、新しいアンチエイジング・テクノロジーが登場する流れは続くだろう。

独自の進展を見せる日本のアンチエイジングブーム

注目すべきことは、アンチエイジングブームが、日本において独自の発展を遂げつつあることだ。その端的な例が最近の「美肌ブーム」である。

Tanaka_zougan_2 現在、30代以上の女性の間で、佐伯チズや田中宥久子(たなかゆくこ)といったカリスマ美容師のブームが巻き起こっている。彼女たちが強調するのは、何も手を加えない「素肌美」、つまり素材の美しさである。色々なブランド化粧品の「戦場」になってしまった自分の肌を、一度、素の状態に戻して見つめてみようと訴えている。彼女たちのメッセージが女性たちの心をしっかりと捉えているのは、それが、ちょうど無印良品が誕生してきた当時の、生成りの美、ミニマルなライフスタイルの提案に通じるところがあるからだ。
メイクアップよりもスキンケア、そして、そのスキンケアのやり方によって、素肌自体の若さや水々しさを取り戻し、若返らせることができるという、彼女たちのメッセージは、単なるスキンケアのテクニック論をこえて、女性としての生き方、ライフスタイルまでを包含することになった。

実際、美容界では内外美容ということが提唱されていて、そこでは、スキンケアとは、単に化粧品を肌に塗るだけではなくて、食生活やライフスタイル全体を見直すことを通じて体の内からも外からもキレイになることを意味している。素肌を磨くことが、女性たちの生き方そのものになったのだ。

半年ほど前のことになるが、佐伯チズさんのセミナーを見学したことがある。その際に感動させられたのは、そのセミナーが単なる美容講習会の域をこえて、瀬戸内寂聴が行っているような「辻説法」を彷彿とさせるような濃密なコミュニケーションの場になっていたことだ。決して茶化す意味ではなくて、セミナーに参加している中年の女性たちは、自分の素肌を磨くことに人生を賭けるほどに真剣そのものであった。佐伯チズさんの一言一句を逃すまいと食い入るよう聞きいり、その言葉に大きく頷き、時として涙ぐんでさえいる。ただし、語っている内容は、あくまでも美容や体のことであり、宗教がかったところは微塵もない。驚いたのは、会場に明らかに60代、70代に達していると見える老女がいたことだ。60歳をこえるおばあさんまでが、日々の肌の手入れを怠らず素肌美に近づくことで、昨日の自分ではない、新しい自分を素肌に発見することに歓びを見いだしている。

これは、美容法というよりは、生き方の講習であり、ひとつの生活思想になっていると思えた。アンチエイジングは「思想」になりうるのだ。

日本が世界のアンチエイジング市場を牽引する

マーケティング的観点に戻れば、こうした光景が教えているのは、素肌美ブームが、化粧やスキンケアは若い女性のモノという固定観念を壊し、世代間に存在していた壁を崩しつつあることだ。世代の壁だけではない、さらには国の壁をも乗り越えて、今や、中国や韓国、台湾など、東アジア圏から遠くヨーロッパにも波及しつつある。パリの百貨店などでは、日本や韓国女性の素肌美への憧れから、日本、韓国ブランドの化粧品が人気になっているのだという。

Koureika_data_2 総務省発表のデータが物語るように、2005年、高齢化率で日本は先進諸国の中でトップに躍り出た。今年、2007年には65歳以上の老人が全人口に占める割合が21%を越える「超高齢社会」に突入した。そして、今後も、この高齢化率「トップの座」は、変わることがなく、歴史上誰も経験のしたことのない、急速な高齢化に直面する。老人大国となることで、日本の社会や産業の衰退が懸念されているが、逆にそれを追い風にすることができるのが「アンチエイジング」というテーマだろう。
開き直った見方をすれば、日本は、世界一の高齢化先進国であるがゆえに、世界のアンチエイジング市場を牽引できるトップランナーになりうるといってもよいだろう。日本が世界のアンチエイジング市場をリードできる根拠、優位性はどこにあるだろうか。

アンチエイジング・ジャパン・プログラム(日本国不老化計画)?

第一に豊かな購買力をもった高齢者を抱えていること、加えて、アンチエイジングに関するテクノロジーを生み出す、再生医療、バイオ分野での最先端の技術と人材を持っていること。そして、何よりも日本が、世界一の長寿国としてのブランドパワーを持ち合わせていることだ。こうして考えて見ると、アンチエイジングという分野については、ヒト、モノ、金、ブランドが全部、われわれの手元に揃っていることに気づく。国の政策として、少子化対策や、人のいなくなった商店街の活性化に血税を使うことも必要なことかも知れないが、産業振興政策として見た場合は、アンチエイジングに着目するほうが、よほど効率が上がるのではないか。

老人大国日本をアンチエイジング産業によって活性化し、若返らせる?そんなアンチエイジング・ジャパン・プログラム(日本国不老化計画)というのはいかがでしょうね、福田さん!

(カトラー)

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コメント

へへへ、それで若く見えても実は「ん?」百歳の年寄りが何時までも権力と資産を握り締めて、子供の生まれない国に成りましたとさ。
子供はもう生めないが比較的若い年寄りは先輩の不労所得を配当などとして貢ぐため生きている限り働かされるの。
ナンちゃって。
もう人間の定義からして変わるんでしょうな。
古いタイプの人間とは同じ価値観や世界でパイを分け合って共生できないと思いますよ。

投稿: ト | 2007.12.29 00:50

「人間の定義からして変わる」確かにそうかも知れませんね。少なくとも、若さと老いの定義は変わるかもしれません。昨日のテレビ番組で造顔マッサージの田中宥久子氏がインタビューを受けていて、きちんと手入れをして老いた顔は、醜くなるのではなく、ニュアンスを帯びるようになるのであり、若い時のパンとした顔より美しいと説明していました。男の顔については、「年輪を経た」というような言い方がいわれますが、女性についても、経年美ということが、価値観として受け容れられつつあるのでしょうか。確かに、品良く、キレイに老いたおばあさんというのが、私の周囲にも何人かいて、そうしたおばあさんが増えることは望ましいことですし、そうでも考えないと、老人大国ということに救いがなくなりますね。でも、そうした考え方に対しては、トリルさんが指摘されているように、若い世代から反発が起きてくるのかもしれません。老人力、老いの美という前に、老害の方が問題か。

投稿: katoler | 2007.12.31 10:23

「美」は又、別問題ですね
滅びるべきものが何時までも滅ばなければどうなるか?
普通に考えれば、ほとんどは無尽蔵に非効率なものに資産を注ぎ込む事になるんじゃないでしょうか?
農業補助とか不良資産先送りとか、ご都合主義で。
もちろんご指摘の様にそれが産業にも成り得ますけどね
手塚治虫の「火の鳥」の読み過ぎですか、そうですか(笑)
個々の「美」は何時か滅びるからこそ「美」でありえるものなんだと思うんですよ、鑑賞者を含めて。
滅びの無い美は、多分おぞましくて醜く感じるのではないでしょうか、どうでしょうか?

投稿: ト | 2007.12.31 18:11

 美肌・のぞき・オタクはあなたの独壇場だ。私から申し上げるような事は一言一句としてない。国粋主義への脈絡のない飛躍についてもあなたのいつもの癖なので今回は放置させて頂く。
 ただ、福田・小沢の大連立騒動はニューヨーク・エルサレレムに滞在中も気になっていた。Nov 10,2007のエントリー記事『小沢一郎の挫折と「不塾」なる政治』はあなたの勘違いの最たるものとお見受けした。
このバカ騒ぎの主役の一人である小沢を、あなたの安倍批判の筆法にならって評するなら、「永田町の不動産屋」と揶揄されている、政治家としての進退を自身で決断できない、その生い立ちにでも起因しているのか「バカ殿性」丸出しの、自称「民主党プッツン党首」小沢一郎が、満天下にさらけ出したあまりの無様さと 裸の王様・KY振りに吐き気を催す、とでもなるのだろうか。と、思いきやこのエントリー記事は、小沢のぶざまな挫折を取り上げているにも拘らず、彼へのレッテル張りを避けておられる。内容はともかく、早々に小沢の政治理念を論じる姿勢は評価できる。これまでのあなたの安部批判と比べれば、隔世の感?がある。
  現役の政治家としては初の試みであったと記憶しているが、’93年小沢は「日本改造計画」という日本再生ビジョンを書籍の形で発表した。それを一読してから自自連立までの間、筋金入りの小沢支持者だった私からすると、小沢の政治理念や「理念と現実の往還」とやらに対するあなたの理解には首を傾げざるを得ない。
  「これほどアメリカの言いなりになった政治家はいない」と云われた小沢は、以下のように主張していたのだ。
  『日本のアメリカ重視政策と国連中心主義を矛盾なく両立させる』ために『日本は普通の国にならなければならない』のであり、そうすれば、『絶対に孤立主義に追い込んではならない唯一の超大国アメリカ』の一極支配体制を支えられる。『経済がどんなにボーダーレスになろうと利己的な存在である国家の本質は変わらない』のだから『決して世界を多極化(地域主義)させてはならない』。
  小沢の「国連中心主義」は、唯一の超大国アメリカが積極的に国連に関わることと、そのための国連改革が前提になければ成り立たない。その前提を欠いた「国連中心主義」は社民の「非武装中立」と同様、「浮世離れ」の代名詞でしかない。この国が直面している厳しい現実とは何の関係もない。小沢が日米中の正三角形の等距離外交、すなわちアメリカ離れを主張することで、彼の理念こそが空疎なお題目に成り下がっってしまったのだ。そんなことは小沢自身が百も承知だ。
 小沢にとって最も大事なものは「小沢の理念」ではなく「理念を掲げる小沢」なのである。所詮、権力志向の権化でしかない小沢にとって、理念は目的ではなく手段に過ぎない。権力欲を隠すアリバイだ。
 大連立が失敗したことは残念だと漏らしてみせる小泉の足元にも及ばない政治家、それが小沢一郎なのである。
 おっと、お呼びでないあらし行為でしたかな こりゃまた失礼致しました。

投稿: かかし | 2008.01.05 22:35

有名な映画「未来世紀ブラジル」では肥大化した官僚機構とともに
上流階級の中高年女性の美容整形に興じる様子がグロテスクに描かれれていました。
まさに近未来の日本の姿かも…。

投稿: ブラジル | 2008.01.09 15:57

見た目だけ若くて中身は痴呆のジジババ、みたいなのを勝手に想像してるヤツがいるな。
脳さえ劣化しなければ新しい時代に適応していくことは十分に可能では?

まぁ、生きてる価値のないような輩はどんどん死んでいけばいいんです。
優れた能力を持った人間だけが長く生きれればよい。
人類が宇宙に出れば土地問題もエネルギー問題も解決する。
ま、金の有る無しで決まっていくんだろうな。

投稿: w | 2011.04.08 20:30

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