« 品格ブームの本質 ~品格本はなぜバカ売れするのか~ | トップページ | 「国技」の救世主になった朝青龍 »

呼吸するように書く透明な精神

Photo 高松に出張し、空港でバスに乗り込んだ時に、携帯電話が鳴った。ケータイメールに、月本裕さんの突然の訃報が入ってきた。脳出血でまだ47歳の若さだった。

月本さんは、雑誌編集者としてブルータスの黄金期やソトコトの草創期の中心メンバーとして活躍し、テレビ・映画の企画、構成、脚本なども手がける一方で、処女小説「今日もクジラは元気だよ」が第一回坊ちゃん文学賞大賞を受賞するなど、将来を嘱望された才能だった。多忙な毎日にも関わらず、「ツキモトユタカノマイニチ」というブログに、ほぼ、毎日、日々の出来事や大好きなサッカーのことなどを書いていた。

残念ながら、月本さんとはこれまで一面識も無い。それなのに月本さんのことについて、こうして書いているのは、ブログを介して月本さんと交流があったからだ。築地の「ひよこ」という喫茶店のことをこのブログで紹介したところ、思いがけず月本さんからコメントが入った。共通の友人から、月本さんが私のブログを読んでくれていることがわかった。こちらも月本さんの活躍については良く存知上げていたので、ぜひ一度、一緒に飲みましょうといっていたのだが、結局、果たせぬままになってしまった。

月本さんのブログには、オシム監督が脳梗塞で倒れた時、回復を切に祈っていたこと、また、自身が糖尿病を抱えているので、オシム監督のように脳梗塞を患うリスクが高いことなどが書かれており、今、読み返すと、自分の運命をまるで予感していたかのようで、とても切ない。
毎日の身辺雑記が脚色も無く淡々と書かれていて、こうした書き方は、真似できないと思う一方で、どうしてこの人は、毎日の自分の行動をまるで記録ファイルにするように、ブログにアップして衆目の下に晒すことができるるのだろうかと不思議に思ったことがある。しかし、月本さんのブログを、しばらく読み続けていくと、あたかも呼吸するように書くことが、この人の生きるリズム、スタイルなのだということが段々わかってくる。

一日の終わりに、カレンダーに印をつけている人がいるが、月本さんにとって、毎日の身辺雑記を書き続けることは、そうした習慣に近かったのかも知れない。そして、日常の細々したことを文章にして公開していくことで、月本さんの精神からは、濁りのようなものが消え去っていって、どんどん透明になっていったように感じられる。
月本さんは、カレンダーに印をつけるように、自分が生きた軌跡をブログに遺し、群青の空の高みに逝ってしまった。

月本裕さんは、呼吸するように書く透明な精神だった。

合掌

(カトラー)

|

« 品格ブームの本質 ~品格本はなぜバカ売れするのか~ | トップページ | 「国技」の救世主になった朝青龍 »

コメント

初めて糖尿病の恐ろしさを知ったのは、ゴッドファーザーという映画でした、身体のどこかに疾患があった方が長生きすると書きましたが、深刻なモノはやはり駄目なんですね。
それにしても、脳出血というのは苦しまないだけ良い死に方ではあるが、宿沢さんと一緒でいかにも早過ぎる...

★定期的に病院通いしている人間の方が長生きする
http://jmseul.cocolog-nifty.com/jiji/2007/12/post_3257.html

投稿: マルセル | 2008.01.12 11:26

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/20869/17647101

この記事へのトラックバック一覧です: 呼吸するように書く透明な精神:

» ブロガーが一人亡くなられた、享年47歳 [時事を考える]
ブロガーが一人亡くなられた、元?ソトコトの月本裕さんだ、カトラーさんの記事で知っ [続きを読む]

受信: 2008.01.12 12:00

« 品格ブームの本質 ~品格本はなぜバカ売れするのか~ | トップページ | 「国技」の救世主になった朝青龍 »