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第三の開国へ、食糧ナショナリズムを超えて

Photo 世界的な食料価格の高騰によって、日本でも食糧自給率の向上が叫ばれている。加えて、中国の毒入り餃子事件に端を発する、中国製食品の安全性に対する不信感の増大も国産農産物・食品への回帰に拍車をかけている。スーパーの店頭からは中国産製品が撤去され、中国製品をボイコットする「チャイナ・フリー」の動きも広がった。

ずっと埃をかぶって顧みられることのなかった「食糧安全保障」という言葉が持ち出され、日本の食糧自給率39%という、先進諸国の中でも群を抜いて低い数字が、あらためて槍玉にあげられている。「国を守るためには、国内農業を活性化し自給率を上げなくてはならない」という、新たな「農本主義」とも呼べるような食糧ナショナリズムが高まっている。

高まり見せる食糧ナショナリズム

確かに、諸外国に比べて著しく低い現在の自給率水準は、外交面での弱みとなったり、食糧生産国から足下を見られたりする要因になりかねない。また、これ以上自給率が低下することは、国内農業の更なる脆弱化と、ひいては崩壊をも意味するので、一定水準まで食糧自給率を向上させていくことは不可欠といえるだろう。
しかし、「食糧安保」を唱える人々が、日本があたかも自給自足を行っていくことが可能であるかのような、一種の鎖国論を展開しているのには違和感を抱かざるを得ない。しかも、こうした気分は、そうした現代の「農本主義者」だけに見られるのではなく、スローフードや持続可能な農業などを提唱する環境主義者やナチュラリストの間にも広がっている。

ところが、こうした議論を検討していくと、すっぽり抜け落ちている視点があることに気づかされる。その一つは、日本農業の担い手の問題である。

Photo_2 現在、日本の農業就業人口は335万人で、40年前の1/3にまで落ち込んでいる。しかもその半数が65歳以上の高齢者だ。この数字が物語るのは、今後、10年以内にその半数、すなわち約150万人もの農民が高齢と肉体的限界から日本農業の現場から退場してしまうという現実である。近い将来、田んぼや畑から姿を消す150万人の老人たちに代わる労働力が現れなければ、日本の農業は間違いなく崩壊する。

日本農業の時限爆弾「担い手問題」

いわば日本の農業は、「担い手問題」という時限爆弾を抱えているに等しいのだが、このことは、何故かほとんど言及されることがない。一体これはどうしたわけだろうと怪訝に思っていたが、果たして現実の方が先行していて、中国人を中心としたアジアの農業研修生が農村にどんどん入っている。06年、国内で新規に農業従事者となった就農者数は約1万1千人だったのに対し、外国人研修生は既に約7500人に達していおり、その2/3は中国人だ。外国人農業研修生が日本人の就農者を追い抜くのも時間の問題といわれている。「農業研修生」というキーワードでネット検索してみればすぐわかるが、今、全国の農村には、続々と中国人農業研修生が訪れ、過疎化が進んだ村の住民から期待を持って歓迎されていることが数多くの記事やブログに書かれており、中国人農業研修生は、日本の農業現場の欠かせない労働力になっていることがわかる。

中国の毒入り餃子事件に端を発して、中国食品に対するバッシングが巻き起こり、国産農産物、食材への回帰が急速に進んでいるわけだが、国内産と思って買った野菜や食品を作っているのが、実は中国人であるという皮肉な状況が生まれつつあるのだ。

そして、もう一つ食糧自給率を巡る議論には、抜け落ちている前提がある。それは、日本においては、そもそも自給率を引き上げること自体が机上の空論のようなものであり、不可能に近い目標であるということだ。

食糧自給率向上は机上の空論

日本と同様、食糧自給率を過去に40%程度まで低下させた英国の場合は、国内の小麦の生産を強力に推し進め、現在の60%水準まで回復させた。小麦は牛の飼料にもなるので、英国の場合は、とにかく小麦の増産に努めれば、食肉、ミルク、チーズといった主要食物についても自給率を比較的容易に上げることができた。しかし、日本の場合は、英国に比べて農地となりうる平地が圧倒的に少なく、家畜向けの飼料作物を効率良く増産する術を持たない。国内で唯一自給できる頼みの綱、米の消費量も一貫して落ち込み続けているので、水田をこれ以上増やすわけにもいかない。日本の自給率の低下は、日本人が肉や乳製品を良く食べるようになるなど、食生活の欧米化の結果、自然とそうなったもので、自給率を元に戻すということは、日本人の食生活を無理矢理、昔に戻すことに等しい。

私自身は米が大好きなので、食生活の時計の針を昔に戻しても一向に不自由を感じないが、日本人全体に対して、マクドナルドの100円バーガーを食べることを禁止して、おむすびだけの生活に逆戻りせよと強制するわけにもいかないだろう。ことほど左様に、日本の食糧自給率を上げるのは、至難の業であり、いわれているように簡単なものではない。

農業鎖国論からの脱却を

ここは考え方を大きく転換し、国内産だから安心、中国産だから危ないといった幼稚な鎖国論からは、一歩踏み出さなくてはならない。

毒入り餃子事件では、日本式の衛生管理システム、生産管理方式が導入されていたにも関わらず、事件の発生を未然に防ぐことはできなかった。個人が意図的に毒物を混入させるといった食品テロのような行為は、どうしたって防ぎようがないからだ。中国政府は、この事件の本質が「テロ」であったことを素直に認め、その後の対応を進めるべきところを事実関係すらつまびらかにせず、国家間の水掛け論に意図的に持ち込んだ。こうした中国政府の愚かなやり方は大いに糾弾されるべきだが、一方で考えなければならないのは、冷凍食品をはじめ、日本の食の供給構造に中国という存在がいかに深くインボルブされているかということだ。現在はもちろん、中期的にも日本の食品は、農産品も含め「中国」という存在を抜きには考えられないと断言できる。

日本と中国の関係がもっと前向きで安定したものであれば、本来は、食料、農産物生産の面でこそ福田首相が提唱している「戦略的互恵関係」を取り結ぶことが可能なはずだ。

そのことを次のGAPを通じて見てみよう。

GAP(Good Agricultural Process)の導入進む

農業分野で今、導入が検討されているGAP(Good Agricultural Process)という農業生産規範がある。わかりやすくいえば農業生産分野でのISOのようなもので、農産物の安全、品質管理という観点から、生産プロセスの標準化、規範化を進めるというものだ。農薬の使用法や管理方法、農産物の保管、選別、洗浄、包装など、農産物の生産に関わる工程毎に細かくチェック項目が定められ、そのひとつひとつをクリアしていくことが求められる。ISO同様、GAPで先行しているのは、ヨーロッパだが、日本では一方的にISOを押しつけられ後手に回った過去の苦い経験から、日本版GAPを制定する動きが進んでいる。

自由気儘にやっていた農業の現場にも、良い悪いは別にして、工場のような事細かな管理手法が幅を利かせることになるだろう。GAPの基準をクリアして生産された作物しか、食品会社や大手スーパーは仕入れないというような時代がやってくる。。
世界最大の食料輸入国として、このGAPづくりでイニシアティブをとることができれば、中国など、農産物の生産国に対しても、日本版GAPの導入を求め、日本の先進的な農業生産技術や環境保全技術を供与すると同時に、中国も含めたアジアの農業研修生を大量に受け入れ、日本の農村で彼らに対してGAPと先進的な農業技術の実践的な研修を行うことを通じて、日本農業の再生をはかることができるのではないかと考えている。

ところで、現在、調達が困難になりつつある農作物がある、大豆だ。

以前のエントリー記事でもとりあげたように米国が主導したバイオエタノール騒ぎによって、GMO(遺伝子組み換え)トウモロコシなどに転作する農家が相次ぎ、日本の醤油、豆腐、味噌などの原料となっている遺伝子組み換えをしていない非GMO大豆の調達が困難になっているのだ。米国産に依存している限りは、GMO(遺伝子組み換え)大豆を使用せざるを得なくなるのは時間の問題と見られている。

国を開き、真の食糧安全保障の確立を

しかし、世界には、非GMO大豆しか生産していない大国がある。それは、中国だ。
大豆はもともと中国が原産地で、納豆や豆腐、味噌も中国から日本に伝わったもの。日本人と同様に中国人にとっても大豆は米と並んで、食生活の基本となる重要な作物であり、「食糧安全保障」の立場から、米国モンサント社などが提供しているGMO大豆などは一切排除している。中国の大豆は大粒で良質であることから、WTO加盟後は、「高級納豆」向けの原料などとして日本向けにも輸出されている。ところが、毒入り餃子事件以降、中国産の大豆を使用して製造した「高級納豆」は、売り上げが半減してしまったという。

中国農産物の評判が地に墜ちた現在では、非GMO大豆の調達先として中国を考えることは、困難な状況にあることは承知した上であえていうが、もともと、米、大豆を中心とした同じルーツの食文化を持ち、隣国関係にある両国が、食糧、農産物生産に関して、「戦略的互恵関係」を取り結んでいないことの方がむしろ不自然だ。
毒入り餃子事件をうやむやにしろなどとは、これっぽっちも言うつもりはないが、この事件を乗り越えて、中国と日本がGAPという共通の基準を共有し、連携することができれば、新たな日本農業の姿が見えてくるのではないか。

日本農業が再生するために求められているのは、国内に自閉することではない。むしろこの国をアジア諸国に向かって大胆に開くことだ。日本農業の高い技術をアジア圏に広める伝道師となるような若い人々をアジア諸国から積極的に受け入れ、東アジア圏というスケールで、安全な農産物を安定供給する仕組みと体制を構想しない限り、日本の食を支える「農業」を再生させ、真の「食糧安全保障」を実現することも不可能だろう。

(カトラー)

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Comments

1)環境になじみ長期的に影響のある決断を行うに足ると思しき学生や技術者が、日本での正式な就業や帰化を望んだ場合の審査・手続きを簡略化する事は、いい事だと思います。
入国時点からそれらのモラトリアム期間も15~20年ぐらい保障しても良いんじゃないでしょうか?

2)農業については事業として見た場合に、就業者一世帯当りの耕作面積が小さ過ぎる状態が問題だと思います。
官は、企業の参入と税制・補助金のあり方を変え、技術の高度化と規模の拡大を図りたいのだと思います。
しかし政治は晦渋してるようです。
いずれにしろ座して死に絶えるよりはセイフティーネットを確保しつつ早急に新しい農業のあり方を模索しなければなりません。

3)移民であれ受け入れた以上は職業選択自由はあるべきだと思います。
最初から差別待遇を前提にした移民の受け入れは歪で後顧の憂いになるでしょう。

4)>隣国関係にある両国が、食糧、農産物生産に関して、「戦略的互恵関係」を取り結んでいないこと

中華思想の思考パターンの性か対等の関係やそれらを前提にした契約という概念がそもそも無い相手に、それは無理でしょう。
中国人でも個々の人間相手なら未だ可能な場合はありますが。

Posted by: ト | 2008.07.25 at 02:14 PM

毒入り餃子事件は、日本の食品業者の仕業だという見方もありますよね。

Posted by: z | 2008.07.26 at 06:20 AM

  最後にアジア諸国と言い換えて見せてはいるが、真の食糧安全保障といいながら日本人の命の綱を中国共産党独裁国家に預けよとはいかなる所存か。
 繰り返し申し上げるが中国に変わる国ならいくらでも存在する。東・東南アジアだけにこだわる必然性などないではないか。

>現在はもちろん、中期的にも日本の食品は、農産品も含め「中国」という存在を抜きには考えられないと断言できる
 
 根拠も示さずいい加減なことを断言されないほうがよい。「隣国」・「食のルーツが同じ」、あなた特有のたったそれしきの情緒的親近感で日本人の生命と健康を中華人民共和国に質入れされては困る。情緒的鎖国を批判するあなたらしくもない。アジアにこだわって失敗した戦前の軍部が抱えた視野狭窄に匹敵してしまう。開国開国と騒ぐなら、もっと広く世界に目を向けようではないか。
 中国では砂漠化の進行で耕作地は減る一方だ、毎年洪水旱魃を繰り返し、農民は共産党政府に無理やり農地を接収され、そこには公害工場が建ち並び、残された耕作地がどれ程の土壌汚染に見舞われているのか。禁止農薬が数万トン単位で市場に出回っている可能性さえ指摘されている。農薬製造工場の正確な数さえ誰も把握できていない。考えただけで身震いがするような惨状だ。国土は荒廃し尽くしてしまう。農業を含めた経済活動はすでに無政府状態になっている。繰り返すが毎年100万人が環境汚染で死んでゆくのだ。13億の民を食べさせてゆけるかどうかも極めて怪しい状況だ。こんな国に日本の農業と食の再生をかけようというのか。
 日本の農業の衰退は担い手がいないことが原因ではない。保護と規制のせいなのだ。それを撤廃すればよみがえる。保護と規制のせいで衰退してしまったのに、人口減少による担い手不足で衰退したと思い込んでそこに担い手を送り込んでどうして日本農業が再生を果たせるのか。再生するはずがないではないか。定住を当て込まれて外国から大量に送り込まれた人々が可哀想だというだけだ。そんなところに定住したって将来はないのだから。結局は帰国してしまうか不法滞在者になって都市部に流れ込むだけだろう。
 食糧の自給と産業としての農業再生を混同してはいけない。青森のりんごは中国・アメリカに大量に輸出されアメリカのりんごを駆逐してしまった。りんごだけではない、日本の高品質の農産物などいくらでもある、買い手もまたいくらでもいる。規制さえなくなれば日本の農業は日本を支える産業の一つとなろう。ただりんごやさくらんぼがいくら採れても食糧自給率は上がらない。それだけのことである。 たとえ日本人が米を今の倍消費して自給率が上がったとしても、その自給率を上げた自給率100%の米の収穫でさえ石油が一滴も入ってこなければいきなり50%に落ちるのだ。ならば石油を自給せよとでも? 
 食糧の自給など多くの国にとって土台無理な話なのだ。自給率60%のイギリスは国家安泰で40%の日本が国家の終わりの始まりになってしまう。そんな根拠などどこにも見当たらない。広く世界の国々と互恵関係を結んでゆけばよい。ほとんどの国が喜んで日本と付き合ってくれる。日本人はそういう国を作り上げて来たのだ。それこそ日本が世界に貢献する道の一つだろう。ルールも守らず品質管理もできない国は切り捨てる他はない。飢餓大陸への道をひた走る中国にこだわることがそもそもの間違いなのである。外交上の儀礼的言い回しならともかく、独裁国家中国と本気で互恵関係を結ぼうなどとと考えているのなら、今からでも遅くはない考え直したほうがよいのではないか。
 日本農業の再生には、保護と規制の完全撤廃が最良最適の治療法なのである。それを先送りしておいて、第三の開国などありえない。不幸の連鎖が待っているだけである。

Posted by: かかし | 2008.07.27 at 12:30 PM

>隣国関係にある両国が、食糧、農産物生産に関して、「戦略的互恵関係」を取り結んでいないことの方がむしろ不自然だ。

そもそも、日本は大陸からの影響を排除することを目的に建国された国です。
正式な国交を大陸の国と結んだのは明治になってから。戦後に中華人民共和国と国交を結んだのは1972年から。
日本も中国も、お互いを無視していた時代のほうが遙かに長いのです。
両国の関係は始まったばかりで、「戦略的互恵関係」を結べるほど、お互いを理解していないし、利害関係が一致するほど関係が深まっているわけでは無いのです。

また、お互いの文化も大きく異なります。

日本は、ニュージーランドやオーストラリア、アルゼンチンなどの食料輸出国と自由貿易協定を結ぶのが最良です。
すでに食糧輸入国となっている中国は、ニュージーランドと自由貿易協定を結んでいます。
日本もそれにならい、足りないモノをお互いに補完できる国と関係を深めるべきです。

Posted by: ほるほる | 2008.07.27 at 07:15 PM

コメントをありがとうございます。
中国嫌い発言は、もう聞き飽きましたので、どこか他の所でやってくれというところですが、保護と規制を完全撤廃すれば、日本農業が再生するなどというお目出度い話が通用するほど、日本の農業の現実は甘くないことをよくわかって発言される方がよろしいですな。今回のエントリー記事で指摘したように、日本の農業にとっては担い手問題が一番の難問です。
かかしさんの「楽観論」は、私が指摘している担い手問題に何も答えていませんね。これでは、知的レベル、誠実さにおいても森永卓郎以下ですよと申し上げておきましょう。
現在、WTO農業交渉で関税削減を例外的に軽くする重要品目が日本の主張する8%から日本にとっては大変厳しい4~6%水準で決まる公算が強くなっています。関税という防波堤がなくなり、日本農業は、いよいよ世界の荒波に洗われる可能性が強くなりました。保護と規制が日本の農業の体質改善を阻み、にっちもさっちもいかない所に追い込まれてしまったわけです。
世界の荒波に嫌々襲われるのではなく、外洋に自ら漕ぎ出す勇気をもつことが必要であり、世界とのつながりにおいて、日本の農業は自ら変わらなくてはなりません。日本の農村に続々と農業研修生が入っている現実は、その変化の兆しでもあります。農業問題の専門家の間では、担い手問題は、海外の労働力を前提にするしかないと結論が出ています。そうしなければ、米の自給さえ怪しくなるのです。このブログで交わされている頭でっかちな議論とは関係なく、必然的にこの流れは進むことでしょう。好むと好まざると日本の農村には、アジアの若者、そしてたぶんその大多数は中国の人々が入り、農村の風景は今とは大きく変わることになるのです。私の議論にいくら罵詈雑言をぶつけても、その現実は変わらないという意味で、中国が日本の食糧生産にとって、最も重要な意味を持つようになると「断言」したのです。
日本の大手スーパーや食品メーカ、外食企業などが、中国と行っている農産物の開発輸入は、実は国内の農産物などよりよほど厳しいチェック体制のもとで生産されています。今回の記事でとりあげたGAPも、そのプロセスを「見える化」させるために急速に導入が進むでしょう。
中国食品と一括りにされてバッシングされるより、厳しい生産管理手法を受け入れて(現にやっていることでもある)信頼性を再構築することを中国の生産者も選択するでしょう。
中国産か日本産かという見方ではなく、GAP基準にあったものかどうかという形に農産物の評価基準は変わっていくことでしょう。中国嫌いの皆さんにとっては残念でしょうが、農業の問題では、中国と共生していくことが、今の現実なんですね。

Posted by: katoler | 2008.07.27 at 11:52 PM

 中国が嫌いだからそんなことを言うのだとか、罵詈雑言を浴びているなどと子供じみた被害妄想で反発するのはやめたほうがよい。「かかしは知的レベルも誠実さも森永以下」そうコメントすることで私がどういうダメージを受けると想定しているのかは知らないが、論点をはぐらかすための前振りにしかなっていない。野球が好きなので脇が甘い、引付けが足らないなどとプロ野球選手のプレイを批判することもあるが、その選手より自分のほうが優れていると考えたことなど一度もない。
 第三の開国、一千万人の移民受け入れ、食料自給率の落ち込み、日本農業の再生、非人道独裁国家との互恵関係、全部カトラーさんが打ち上げた大輪の花火ではないか。その流れの中で、日本人農業従事者150万人の退場、その穴埋めの外国人労働力ということだろう。そしてそのほとんどが中国人になるはずだから非人道独裁国家との共生が大事だとなる。そのことへの反論を頭でっかち、中国嫌いでやり過ごし、「農業の担い手」一本に論点を矮小化してみせる。現在の7500人の農業研修生がもっと増えるという。それが、数万人規模ならどうでもよいのだ。騒ぐことではない。150万という数字が出ているから日本農業の再生は担い手の問題ではないと反論しているのだ。妙なはぐらかし方はしないほうがよい。

>保護と規制が日本の農業の体質改善を阻み、にっちもさっちもいかない所に追い込まれてしまったわけです。

 だからそんな所に50万100万と外国人を引っ張り込んではならないと言っている。保護と規制による衰退が招いたものが過疎化だ、保護と規制をそのままにして外国人を入れても結局過疎化すると申し上げているのだ。過疎化の過程をもう一度再現することに何の意味がある。
 WTOがまともに機能しないから、世界はFTAという二国間協定でグローバル化を進めているのではないのか。日本のFTAが遅々として進まないのは農業の保護と規制に縛られてのことだ。

>日本の農業は自ら変わらなくてはなりません。日本の農村に続々と農業研修生が入っている現実は、その変化の兆しでもあります。

 農業研修正を受け入れる姿勢が、日本農業が自ら保護と規制を撤廃する前触れのはずがないではないか。新たな保護と規制を求める動きではないのか。保護と規制の撤廃は政治の決断以外で実現することなどない。保護されている側が自らその保護をかなぐり捨てると考えるほど楽観的にはなれない。
 チャイナリスクに怯え始めていた日本の大手スーパーや食品メーカ、外食企業などが、現実に被害をこうむってしまったことを過小評価してはならない。あくまでビジネスなのだ。カトラーさんにとっては残念なことかもしれないが、中国が大好きだからという理由で被害を受けてもそこに留まり続ける日本企業などない。コストパフォーマンスの悪化とカントリーリスクの大きさに中国を逃げ出す企業は後を断たない。
 

Posted by: かかし | 2008.07.28 at 05:32 AM

農漁業の担い手の問題というのはありますが、医療や介護・地域環境保全のような外国にアウトソーシングできないような分野でもない限り、日本では労働集約型なまま国際社会で競争力が持てる分野はありますまい。
(ああ、アニメ製作現場とかありますね。青色吐息みたいですが)
もしそれらに一旦成功しても更なる円高で食えなくなるだけですよ。

Posted by: ト | 2008.07.28 at 06:33 AM

日本の農業従事者がもっと減れば、農地が集約され資本の集中が可能になり、ロボットによる農作業が現実のものになります。
日本の農業に必要なのは、農地に資本を集中できる体制作りであって労働力ではありません。

農業研修生は、昔の夢が忘れられない農村の老人達の利権あさりにすぎず、そこに未来はありません。

Posted by: ほるほる | 2008.07.30 at 11:13 PM

週刊!木村剛から訪問しました。木村剛氏がコメントしています。《日本にろくな指導者がいないと感じるときが多いですね。リーダー不在でも、「カトラー」さんが指摘するような「第三の開国」はできるのでしょうか・・・。本当に心配です。》
かかし氏のコメントはわかりやすいですね。木村剛氏と同じことを具体的に説明しているように思います。 ほるほる氏のコメントもおもしろいです。1000万人も移民を受け入れるなんて反対です。

Posted by: spittu | 2008.07.31 at 06:34 PM

農業や林業に携わってきた人たち跡継ぎがオフィスで働くようになって従事者がへったということでしょうか。
人口減少で例えば空港にしてもハコモノにしても次世代まで今の数を保てるとは思えませんし、そこに従事できないとなると又労働力は移動するのではというようなことは無理でしょうか?
綺麗なところだけで働ける国民が多い=繁栄している国民といえるのではと感じるこの頃です。
癒し・ホワイトニング・メタボ・・・
移民を受け入れるのに反対ではないですけど、思うように扱えるのでしょうかね。

森永さんの発想は最初は凄いと感じましたけど、社会というのは移り変わるし、ちょっと行き過ぎたけどもはや戻れなくなってるんじゃないかと思います。そんな単純ではないでしょうか?綺麗なところの住人でいるために必死なかんじもします。


Posted by: L | 2008.08.01 at 11:45 AM

皆さんコメントありがとうございます。
WTOの農業交渉が決裂して、少し時間ができたと安堵する農業関係者の声が出ていましたが、直面する問題が消えて無くなったわけではありません。
問題を先送りしてきた結果、日本の農業は、破綻の淵にまできているというのが私の基本認識です。
エントリー記事にも書きましたが、担い手問題が、日本農業の最大かつ最も難しい問題であり、10年以内に答えを出さなくなくては、現状の水田、米の自給さえ困難になるという、「目先の緊急問題」なのです。この点については、何度も繰り返しますが、外国人労働力を入れるしか方法がないんですね。現実もそれを前提に動き出しています。残念ながらspittuさんがいわれているように、移民受け入れを反対するような選択肢は、この問題についてはありえないのです。
かかしさんがいわれるような、保護と規制の撤廃は、少なくとも20年前から手をつけるべきでした。
現在農家の平均年収は、150万円といわれています。これでは、新たな農業の担い手が入ってくるはずがありません。
単純にいって、年収400~500万円の人並みの収入レベルに平均を押し上げようと思ったら、耕作面積を3倍にするか、価格を3倍にするしか方法がありません。
それを可能にするには、農地法の改正により、農地の集約化を進め、なおかつ高付加価値な作物の開発、商品化をしなくてはならないのですが、いずれも農業の抜本的な構造転換を必要とすることであり、どんなに急いでも10年仕事になるでしょう。
残念ながら、その間にも「担い手問題」という時限爆弾は爆発してしまうんですね。
こうした現実を、メディアも政治家も農業関係者も明らかにしてこなかったというところに最大の問題がありますね。
日本は、グローバル化の中での農業分野での戦争に、明らかに敗北しているのです。

Posted by: katoler | 2008.08.02 at 11:51 AM

日本での農業の研修生の問題については、
http://ameblo.jp/babynikkan/day-20080420.html
「中国人に日本名をつけるな!」
このショッキングな記事が日本の近未来をあらわしているとおもいます。

ちなみに私はアメリカからの帰国子女です。
日本の若い同世代は内向きで思考停止になっていると感じます。
しかしkatolerさんたちの世代の責任も大きいです。
教育をspoilしてきたことのreternが大きいです。
とくに家族というものに対するIdentifyは日本が一番ひどいです。
先祖や両親をRespectしない国は世界中で日本の若者だけです。
中国人嫌いという話についてはアメリカでも中国人は嫌われています。
ただ警戒して上手につきあっている感じです。
(国籍をとってアメリカ人になってしまった元中国人も含めてです)
もちろん最後は個人の人格にかかってきますがspyとかは警戒していましたね。
日本人はその点とても幼稚でpoorな印象がします。

Posted by: chie | 2008.08.02 at 04:31 PM

うまく表現できませんでした。
私が若い世代を内向きといったのは
nationalismではなくて、
もっとひとりぼっちで孤立している感じ。
PCでいえばnetとつながってない、
stand aloneという感じに近いです。
そしてその理由が教育の失敗と考えました。
自分たちの社会のことを何も考えない、
そんな人たちだらけの国になっているということです。
人間にとって政治や行政や司法はとても大事です。
このあたりまえのことを前提しないで移民政策をとっている国はありません。
冒頭の記事を出したのは元中国人たちが日本の農業のすべてを支配してしまったら、
日本は中国の一部になってしまう、ということがいいたかったのです。

Posted by: chie | 2008.08.02 at 05:56 PM

 カトラーさんが「担い手問題」にこだわる事を否定するつもりはない。日本の農業が抱えるきわめて深刻な問題であるという認識は共有している。
 しかしこの深刻な問題の解決策が第三の開国による大量移民による労働力の確保=大量の中国人移民=中華人民共和国との経済共同体的互恵関係ということであるならあまりにも短絡的な議論であろうと申し上げている。
 農家の平均年収が150万円だから担い手がいないのではない。農家280万世帯の平均所得は年間800万円だ。勤労者世帯より2割も所得が多いのだ。150万円という数字は経費を差し引いた金額だ。サラリーマンと違って経費が認められていることを見落としてはならない。サラリーマンよりはるかに豊かなのである。
 繰り返し申し上げるが「担い手問題」は労働力の問題ではないのだ。増大する休耕農地の利用規制で、やる気のある日本の若者や株式会社が参入し難いこと、つまり彼らが締め出されていることが問題であろう。すでにカトラーさんが指摘している通り、農地法の改正により、農地の集約化を進め、効率化を図らなければならないのだ。2003年には小泉内閣の決断で食糧庁が廃止になった。政治が決断すれば農地利用の規制緩和はできる。やる気のある日本人を締め出しておいて対症療法で安易に外国人低賃金労働力に依存しては、10年20年たっても日本農業の構造改革はできない。
 保護と規制を続けたい連中が考え出した自給率イコール食糧安全保障などという嘘話に乗せられて大量の移民を入れることが第三の開国だとはとても思えない。安全保障などと大層な話で日本人を脅迫しているだけだ。
 だから前のコメントで石油が自給できない食糧安保とは何なのかと申し上げた。米が100%自給できなくなることにおびえるよりも、日本の農業が世界に果たすべき役割を担ってゆけるよう、抜本的構造改革による競争力の強化に全力を尽くすことが何より優先されるのである。
 農業の保護に縛られず世界各国とFTA・EPAを積極的に進め互恵関係を築くこと、そしてWTO体制を守ってゆく、それこそが日本の第三の開国なのである。
 

Posted by: かかし | 2008.08.02 at 07:26 PM

木村剛さんが是非、全文を読んでいただきたいと薦めていたので来てみました。カトラーさんの評論に対して木村剛さんは100%賛成だそうです。
ブログ界屈指の経済通である「カトラー」さんと木村さんに反論しているかかしさんは勇気がありますね。失礼な言いかたをしてすみません。けれどもかかしさんのコメントに納得してしまうことが不安なのです。
やる気のある日本人を締め出して移民を受け入れる・・・日本の農家がそんなことする理由がわかりません。
移民を入れたら10年20年たっても日本農業の構造改革はできない・・・このままでも変わらないなら移民の皆さんが日本の農業を変えることを期待したほうが現実的だと思います。

Posted by: nouru | 2008.08.04 at 03:43 AM

CHIEさん
コメントをありがとうございます。
中国の人に日本の名前をつけて呼ぶというのは、確かに不自然ですね。ただ、中国人のホワイトカラーの人たちも、トムとかジャックとか、全く本名と関係の無い英語名をつけたりしていますね。あだ名やネット上のハンドル名みたいなもので、抵抗がないのかも知れません。
STAND ALONE という感覚はよくわかりますし、現代人が置かれた状況をとても的確に言い表しているとおもいます。そうした状況をもたらしているものは、何なのかと考えると、教育ということもひとつの要因だと思いますが、もっと経済・社会構造に根ざした問題であると考えています。地縁、血縁といった伝統的な人のつながりを断ち切って、人々をアトム化させていくのが、資本主義の宿命とでもいうべき側面で、この事は、別の見方をすれば、フリーターやニートとして生きていくことを許す社会、自由度を人々に与える社会と見ることもできます。田舎の人間同士の繋がりは、密接で暖かいともいえますが、反面「わずわらしい」ともいえますね。資本主義社会は、全てを商品経済の中に組み込み、人間同士のコミュニケーションもサービス経済化していきます。ホリエモンがいっていたように全てが買える世界が、資本主義的には正しいのです。
ですから、現在、日本の社会を覆っている閉塞感は、非常に乱暴にいってしまえば、経済が全体として成長しさえすれば、そんなに気にならないことかも知れません。
今回のエントリー記事も含めて、「開国」ということを問題にしているわけですが、日本の経済が低迷しているのは、基本的にはグローバル化の波に対応できていないからということに尽きます。国の開き方には、色々方法や順番もあります。このコメント欄でかかしさんが言っているように、国内の内なる規制を撤廃していくことが先ずやるべきことというのは、当然ですが、どんな領域においても海外の資本を呼び込まない限り、グローバル競争の中で生き残ることができません。
北海道や沖縄のリゾート地は、バブル崩壊でボロボロになりましたが、台湾やオーストラリアの投資が入って、息を吹き返しつつあります。同じように日本の農地に中国資本が入って、できた作物を日本ブランドの高級農産物として中国の富裕層に売るということだってありだと考えています。それを、中国人たちが日本の農業を支配するとはいえないのではないでしょうか。

Posted by: katoler | 2008.08.04 at 01:21 PM

どうも。大変ごぶさたしております。いつも楽しく拝見しております。日本が戦争をしない永世中立国となることを願う「へうげもん」(変わり者)です。
さて、日本にとっての農業の問題はとても重要でこれは歴史や文化の問題でもあります。田んぼにまつわる信仰は40代の私にもありますし、私の祖母が自然に持っていた田んぼの神様や水の神様(みずがみさま)への畏敬と感謝の念は今こそ大事にすべきだと思うのです。そうした観点から、日本は現状に悲観せず、もっと堂々と全世界から農業の研修生を受け入れて良いと思います。そのときのコンセプトは「来たれ、7人の侍たち!」です。
アメリカなどの邪悪な資本家や大規模工場まがいの農業から、高齢化が進んでいても脈々と千年以上続く日本古来の文化でもある人間農業と百姓をまもってください、高い志をもつ若者(サムライ)を全世界に求めます、と日本政府が国をあげて訴えるのです!(7人単位でチームを作らせるのがポイントです。)
きっと注目されるとおもいますよ。また、日本の農業には優れた技術がたくさんあります。NHKでもとりあげられていた合鴨農法など、フランスやキューバなどからも見学者が来ているそうですが、こういうものももっと注目されて良いと思うのです。http://aigamokazoku.com/about.html

後継者の問題についてはアイデアがあります。それは思い切って全国の小中学校の義務教育に取り入れて子どもたちに交替で農業をやらせるのです。単に食糧自給という底の浅い目的だけではなく、これによってさまざまなことが実現可能になります。まず義務教育ですから全国民にスキルが身につきます。実習を通して文化継承も実現できます。延べ1000万人の小中学生たちの純粋な経済活動としての農業労働は、上手にシフトを組めば大人200万人分くらいにはなるでしょう。対価として給食代を半額にしてもいいかも知れません。これで過疎化と高齢化の問題はもちろん、前段でのべた世界中からくる侍(研修生)たちとの交流(国際交流)も子どものときから体験できてしまいます!妙案だとおもうんですけど。
ここで一句、

「第一次産業が夏かしく、第三次産業に秋が来る」

おあとがよろしいようで…

Posted by: へうげもん | 2008.08.04 at 08:10 PM

 木村氏に反論した覚えが無いので、ご両人に反論する私の勇気とやらはnouruさんの買いかぶりに過ぎない。そもそも他者の意見に反論するために「勇気」が必要なのだろうか。あなたの「不安」に内容とは関係のない肩書きや知名度への遠慮や怯えが含まれているのなら、その部分の「不安」に私は応えようがない。あえて申し上げるなら自身の頭と心で考えるしかない、ということだろう。
 nouru さん、「意欲を持った日本人を締め出す」というのは、農民・農業生産法人(農協など)以外の日本人が農地を利用して農業に参入することを、著しく制限していることを指している。休耕農地がどんどん増えているのに彼ら(特に農協)は既得権を守ろうとして規制を緩めようとはしない。農地の所有権にこだわる気持ちはわかるがリースで貸し出すことさえさせない。やる気のある日本人に農地を利用させてしまえば、意欲的であるからこそ非効率極まりない流通過程ややる気のない農協など絶対に利用しないからだ。そうやって休耕地が増えてゆけば米さえ自給できなくなる。さあ大変だとなっている。米を輸入せざるを得ないことを騒いでいるのである。日本の食料安全保障のためなどこれっぽっちも考えてはいない。もともと嘘なのだから当然だ。何が大変だというのか。国際価格の5倍~10倍の価格で国民に米を売りつけることができなくなるからだ。米は一粒たりとも輸入させない。安全保障と嘘をついても自給率100%を維持しなければならない。
 日本国民一般に農地を利用させてはならない農協を無視する意欲的な農業参入者が現れてしまう。かといって休耕農地を放置しておくわけにも行かない。自給率が維持できなくて輸入しなければならなくなる。さあどうする。低賃金外国人移民を入れて休耕地を耕させ、そこでできた農産物を農協がいじくり回そう、となる。移民を受け入れることが開国につながらない理由である。
 カトラーさんが指摘されている、海外の資本を呼び込むことには大賛成である。しかし、「食卓に魚が上らなくなってもよいのか」と日本人を脅迫して、漁船の燃料費を国民からせしめたり海の利用を制限していてはリゾート開発さえ思うに任せない。政治の責任は重い。

Posted by: かかし | 2008.08.04 at 08:57 PM

へうげもん さん
>これで過疎化と高齢化の問題はもちろん、前段でのべた世界中からくる侍(研修生)たちとの交流(国際交流)も子どものときから体験できてしまいます!

体験した結果、農業のつらさを思い知り農業関係の仕事にだけは絶対つかないようになるでしょう。
これは外国人労働者も同じ。近くの大都市へ行った方が楽に稼げるとわかれば、即座に農地を放棄して大都市へ行ってしまうでしょう。中国でも、そのようにして放棄された多くの農地が砂漠化しています。

農業を好きな人間に好きなようにやらせるしかないでしょうし、それが一番効率的です。
それで食料が足りないようなら、日本が海外の農地に投資して確保すればよいだけです。なんでもかんでも日本国内で完結させる必要はないのですから。

日本に敵対している政策をいくつも実行している中国から大量の人間を入れるのは、破壊工作を実施されるだけでしょう。

Posted by: ほるほる | 2008.08.04 at 10:55 PM

日本では「百姓」というと権力者に搾取される存在、そして労働は苛酷、そんなイメージが定着しています。
本来はもっと明るく楽しいものです。先の提案(義務教育化)もそうした白土三平風の農民史観をこわすきっかけになればとおもいます。
合鴨農法などは生態系も学習できますし、子どもたちには楽しいカリキュラムになるでしょう。古野隆雄氏は以下のように述べます。
私は百姓です。…田植えがすむと合鴨を水田にはなします。田畑輪作の田んぼにはトマト、ナス、かぼちゃ、おくら、すいか、きゅうり、インゲンサトイモ、きゃべつ、レタス、ごぼう、なんでも作っています。山で鶏も飼っています。ドジョウも田んぼに放しています。鳥小屋や倉庫は自分で作りました。土木、大工もします。
山仕事もします。何でも自分でします。百の仕事をするから百姓なのです。そして何でも作るから百作なのです。創意工夫の世界。それが百姓百作です。

katoler氏がモンサントなる独占企業による遺伝子組換農作物のことをとりあげていました。
巨大な元農薬会社が全世界の農作物を独占する、これはとんでもないことです。農業は工業ではありません。
工業製品のように卵をつくったり、腐らない野菜を開発したりしてはいけないのです。
「七人の侍」といったのも、将来これはraison d’etre(農業の存在理由)を賭けた戦いになるかもしれないとおもったからです。
超巨大資本による全世界の農作物の独占。
これを許してしまえば、農作物は「合成化合物」になり、田畑は「工場」になり、そして農業は「工業」になってしまうでしょう。
日本が立ちあがれば「七人の侍プロジェクト」は若者を中心に世界に理解され支持されるとおもいます。

Posted by: へうげもん | 2008.08.05 at 08:33 PM

へうげもんさん、お久しぶりです。相変わらすの名調子、楽しくご意見拝聴しました。
日本の農業技術が世界的に見て大変優れたものであることは、日本人にも知られていません。種苗改良や栽培技術はトップレベルであり、国土が南北に長いことから様々な植生や多様な作物種が存在しており、地方には、都会人が知らない土地々の様々な野菜が食生活に根ざして受けつがれています。農業は地域文化でもあるので、子供達に教育の一環として農業を体験させるというのは、とても素晴らしいアイデアではないでしょうか。
また、ご指摘の通り、海外からの農業研修生には、日本の高い農業技術やそれを裏打ちしている文化も学んでもらうということが理想だと思います。農業に効率性の視点を持ち込むことは重要ですが、日本の生物多様性を破壊するモンサントのGMO作物などを導入するのは、日本農業の自殺行為であり、絶対にすべきではないと考えています。しかし、一方で日本の農村は、限界集落化しており、このまま手をこまねいて何もしなければ、あと10年で崩壊してしまいます。持続可能な経済効率を実現する必要があり、経済効率と地域文化をどのようにバランスさせるかが問われているのだと思います。

Posted by: katoler | 2008.08.06 at 01:05 AM

中身の濃い議論だと思います。かかしさんは農業の実態をよくご存知ですね。我らとご同業なのでしょうか。
もう農協はだめです。我々農家のために農協があるんだとは考えてないのですよ。農協をつぶさないことしか考えてないんです。

Posted by: 東京で有機野菜を売っている農民 | 2008.08.07 at 12:27 PM

かかしさん

大変失礼いたしました。反省してます。懇切丁寧なお答えに感謝いたします。ありがとうございました。

Posted by: nouru | 2008.08.07 at 01:15 PM

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