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爆走する中国の電気自転車ブームの行方

Photo 最近、上海や北京に行った人が印象に残ったこととして必ずあげるのが、電動自転車が街のあちこちを走り回っている光景である。

一昔前の日本のメディアが、中国を描く際に、必ずといっていいほど取り上げるステレオタイプ化された映像があった。それは、人民服を着た膨大な数の中国人労働者が自転車に乗って一斉に職場に出勤するシーンだ。自転車に乗った人々が蟻の大群のように街のそこかしこから溢れ出て行進する姿は、中国という国の貧しさ、そして同時にその膨大な潜在力を象徴していた。

その光景が、現在の中国の発展を示すように、自転車から電動自転車へとスイッチされようとしている。

電動自転車といっても、日本でも流行っているヤマハのパッソルのようなアシスト機能の備わった高級自転車ではない。自転車に電池とモータをくっつけた、日本で言えば原付自転車の原動機部分がガソリンエンジンではなく、「電池+モータ」になったものといえば想像がつくだろう。この電動自転車が、2007年には上海では160万台、中国全土では2100万台も生産されているという。中国で電動自転車の市場が立ち上がったのは、1997年といわれているので、この10年間で文字通り爆発的に普及したことになる。

中国全土で年間2100万台も生産された電動自転車

Photo_3 もともと中国は年間8000万台もの自転車を生産している世界一の自転車大国であり、北京や上海などの大都市の道路には、車道、歩道、そして自転車専用車線が整備されている。日本では、完全に動力だけで走る「自転車」は「原動機付き自転車」に分類され、免許の取得が前提となるが、中国では、自転車専用線が整備されていることもあり、「原付」のようなタイプであっても免許を必要としない。また、大都市の排気ガス汚染や渋滞が社会問題化したために、ナンバープレート規制が行われ、実質的に自動車の保有が困難になったことも電動自転車の普及に拍車をかけた。

中国で普及している一般的な電動自転車のスペックを見てみると、最高時速は20㎞以下、1回の充電で可能な走行距離は40~60㎞、一部でニッケル水素電池も使われているが大部分は重い鉛電池(10㌔程度)を積んでいて、価格は2000~3000元(3~4.5万円)というのが相場のようだ。電池のパワーを上げていけば、当然のことながら、バイクやスクーター、そして電気自動車までほぼ同じ技術で対応できる。重要なことは、電気自転車が、一般化したことで、「電池+モータ」の組み合わせで移動体(ヴィークル)を製品化することが、極めて容易になり、これまでの自動車、バイク、自転車というような区分をすることが無意味になりつつあることだ。

失われる日本のバイクメーカーの優位性

中国における電気自転車の爆発的な普及によって脅威にさらされているのが、日本のバイクメーカーである。世界のバイク市場は、これまで日本の二輪メーカー、ホンダとヤマハの独擅場にあった。一時期、価格の安い中国製のコピーバイクが、東南アジアなどでシェアをとったが、すぐに故障するということで、あっという間に日本製バイクが返り咲いた。中国全土にバイクメーカーは100社以上もあり、それらが皆、価格競争に走っているために研究開発投資ができない、また、個々の部品のレベルが低いので、故障が頻繁に発生するという問題があった。ガソリンを燃料とする複雑な内燃エンジンを搭載したバイクの場合は、日本メーカーの技術力とこれまでの蓄積がものをいったのだ。

ところが、電動自転車、あるいは電動バイクになったとたんに、そのアドバーンテジは消え失せてしまう。メカニックの構造が単純となり、故障も激減する。中国のバイクメーカーは、こぞって電動自転車の市場に参入し、高出力のニッケル電池を搭載したバイクなどの製品化も始めている。日本と欧州にパッソルを投入し、電動自転車の市場を開拓したヤマハ発動機は、当然のことながら、中国市場への進出も検討したが、技術的な差別化が難しく価格競争に巻き込まれるだけという判断から、中国の電動自転車市場への進出を見送った。

2次電池の覇権競争でも主導権を握る中国

こうした電動自転車市場の爆発的な成長が意味しているのは、次世代の2次電池の覇権争いでも中国が確実に主導権を握るだろうということだ。
現在、世界中が注目している「BYD(比亜迪)」という中国の電池メーカーがある。著名な米国の投資家ウォーレンバフェットが巨額の投資を行ったことでBYDは一気に世界で知られることになったが、パソコン用のリチウムイオン電池、携帯電話の2次電池などの製造を手がけ、リチウムイオン電池では、世界シェアの15%、携帯電話の2次電池では40%という圧倒的なシェアを持っている。
このBYDが最も注力しているのが、電気自動車向けの2次電池の開発である。傘下に自動車メーカー「BYDオート」を設立して、北京自動車ショーでは、試作車「Fe3」も発表し衆目を集めた。
BYDのトップの王伝福は、この5年のうちに、中国でトップの自動車メーカーになると、豪語しているが、電動自転車の2次電池市場が既に離陸していることが、こうした自信を裏打ちしているのだ。
日本の電池メーカーは、この中国BYDに対して、まだ技術的な面では優位性を保っているといわれるものの、その差も急速に縮まっている。何よりも、日本の電池メーカーは、移動体向けの電池市場の開拓をこれから行わなければならないのに対し、中国では既に目の前に市場が出来上がっていることが大きい。市場を押さえていることで、標準化や規格化の面で優位に立つことができ、巨額の投資もしやすくなる。

Photo_2 実はBYDは、既に日本市場にも上陸している。イタリアの電気自動車の輸入販売などを手がけるオートイーブィージャパンが、電動スクーター(写真)の販売を始めたが、これに搭載されているのがBYDのリチウムイオン電池である。家庭用電源で1―2時間充電すると、45―85キロメートルの走行が可能で、価格は原付き一種に相当するタイプで34万6500円。1キロメートル当たりの 電気代は0.5円と、一般的なガソリンスクーターに比べ約5分の1で済む。

日本でも電動自転車(スクーター、バイク)の爆走が始まる予感がする。

(カトラー)

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コメント

日本の電池の世界シェアは56%、日本のバイクの世界シェアは48.7%です。

投稿: てつ | 2009.09.07 02:40

■小林麻央 処.女説はやはり嘘だった?!モトカレ流失カーセOクス動画が存在した!!


http://kobasister.blogspot.com/


とあるサイトに元彼と一緒のプリクラと小林麻央と思われる人物とのカーセOクス動画が掲載された。
既に検証されており、本人と断定されてしまった。

http://kobasister.blogspot.com/

投稿: ■小林麻央 処.女説はやはり嘘だった?!モトカレ流失カーセOクス動画が存在した!! | 2010.05.17 14:08

【絶世の美女】林志玲(リン・チーリン)過去流失動画!!

映画「レッドクリフ」の小喬役の台湾女優、リン・チーリン。
月9ドラマ「月の恋人~Moon Lovers~」でキムタクと共演している彼女に注目が集まっている。


http://linzhilingred.blogspot.com/


台湾のアイドルグループであるF4の言承旭(ジェリー・イェン)との交際が報じられ、林志玲(リン・チーリン)が修理に出した携帯電話から言承旭(ジェリー・イェン)とのバス□ーブ姿の画像が流失してしまった。

http://linzhilingred.blogspot.com/


『台湾第一名模』の彼女の素顔が明らかに!!

投稿: 【絶世の美女】林志玲(リン・チーリン)過去流失動画!! | 2010.05.17 14:08

沢 尻エリカ 問題の露天風呂盗 撮動 画【全編40分】

「本物なのか!?」――。
1本の盗 撮ビデオをめぐり、AVマニアが騒然となっている。
あの“エリカ様”こと女優・沢尻エリカにウリ二つの女性の入浴シーンが隠し撮りされ、闇市場に出回っているのだ。


http://erikasama.blog.so-net.ne.jp/

 実際に映像を見てみると、確かに髪形や雰囲気は沢尻にソックリ。ただ、本物と比べて顔がノッペリしているし、胸も小さいような……。しかし、DVDの途中でこんなテロップが流れる。


http://erikasama.blog.so-net.ne.jp/

投稿: 沢 尻エリカ 問題の露天風呂盗 撮動 画【全編40分】 | 2010.05.17 14:27

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受信: 2009.04.23 10:33

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