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「上から目線」の麻生首相の自滅とネガティブキャンペーンCMの効果

Photo 与党、自民党と公明党が、民主党に対するネガティブキャンペーンを始めている。

自民党は、ネットCMプロポーズ篇というアニメを制作し動画サイトで流しているが、鳩山由紀夫に似た主人公キャラクターが甘言を弄して恋人に結婚を迫るという内容だ。

男:僕の方が君を幸せにできる。僕と交替してみないか、バラ色の人生が待ってるよ。
出産や子育てや教育の費用も、老後の費用も介護の費用も、僕に任せれば全部OKさ。
高速道路も乗り放題だよ。
女:お金はだいじょうぶ?
男:細かいことは結婚してから考えよう

公明党のCMでは、小学校の教室で、窓ガラスを割ってしまった子供が、周りのクラスメートの子供達から咎められ、しらを切り通すのだが、苦し紛れに「秘書がやった」と答える。あまり出来のいいCMとはいえないが、小沢一郎前民主党代表のことを揶揄したものだろう。

日本の選挙広報キャンペーンの中では、相手の欠点や弱みを突く、こうしたネガティブキャンペーンは、おおっぴらに採用されたことはこれまで無かった。しかし、今回は支持率の低迷に喘ぐ与党が、野党の民主党を標的に貶しのキャンペーンを仕掛けている。投票日が目前に近づいているにもかかわらず、各種の世論調査では、民主党との開きが一向に縮まらない。このままでは、政権から転げ落ちることはもとより、大臣経験者など党の幹部や有力議員の当選もおぼつかないという焦りからネガティブキャンペーンに手を染めたともいえるだろう。

ネガティブキャンペーンに手を染めた与党

ネガティブキャンペーン自体が効果を発揮することは、米国の大統領選挙などで実証ずみだが、日本のような文化風土のもとで、あまりこのパターンでやり過ぎると逆効果になるということもあり、鳩山民主党党首を揶揄した自民党のCMは、今のところネットだけで流されているそうだが、既に50万を超えるアクセスを記録したという。

自民党の選挙キャンペーンを担当しているのは電通のようだが、自民党のCM(プロポーズ篇)を見れば推察できるように、若い女性層を自民党に呼び戻そうと躍起になっている。
4年前の衆議院総選挙では、F1、F2女性層が小泉支持に回ったことで、小泉旋風が巻き起こり、自民党が大勝した。この時の支持層が、麻生自民党から離反してしまっていることが自民党苦戦の最大の原因と分析しているのだ。

私の周囲でも20,30代の女性の間では「アノ人の顔を見るのも嫌、寒気がする」というような強い嫌悪感が広がっている。さすがに、メディアもこうした実態はとりあげにくいだろうが、マーケティング調査などでは、明らかにそうした数字が出ているのであろう。

「上から目線」だから嫌われる麻生太郎

麻生太郎がここまで嫌われるのは何故なのか。私の知人の女性は「上から目線だからよ」という一言で斬り捨てた。
「上から目線」という言葉は最近になって良く耳にするようになった。ブログやネットの掲示板のコメントに対して、「その意見は上から目線だ」というような形で、意見の中味より、その意見を表明している人物の態度や姿勢の方を問題にしている。

具体的にはどんな態度のことをいうのかと、ネットで検索してみると、恋愛指南のサイトに以下のような「上から目線だと感じさせてしまう態度9パターン」というのがあった。ちなみに、ここでいわれている9パターンは、男性が恋人に対して嫌われる「上から目線」の態度として取り上げられている。

1) 俺ってさーと話し出す
2) 君ってサーときめつける
3) 「・・・・してあげてもいいよ」と提案する
4) 「料理はできるの?」と単刀直入に聞く
5) 「俺の言ってること理解できる?」と確認する
6) 「これだから○○は・・」とレッテルを貼る
7) 話を聞いても「そんなことは知ってるよ」と自分の知識をアピールする
8) 話の途中で「要するにこういうことでしょ」と要約し、断定する
9) お店の店員に対して命令口調である

これを読んでいて、この9パターンは、麻生首相をモデルにしてまとめられたのではないかと思えるほど当てはまっていて笑ってしまった。毎日、報道陣に囲まれてインタビューを受ける、いわゆる「ぶら下がり会見」でも麻生首相の記者たちへの対応は、上に紹介した9パターンそのものだ。
「上から目線」という言葉を考える時に重要なのは、「上から目線」でモノを言っている当の本人にとっては、それは全くといっていいほど意識されないということだ。逆に、女性有権者に代表される社会的な弱者は、こうしたモノ言いに敏感に反応する。賢明な読者は既にお気づきだろうが「上から目線」の意識構造とは、差別の意識構造と似通っている。

麻生の差別発言と野中広務との確執

政界を引退した野中広務氏と辛淑玉氏がこの6月に「差別と日本人」という対談を出版した。野中広務と麻生太郎の確執については、以前、このブログでも取り上げたが、森政権時代に幹事長を務めた野中を次の総裁候補という声が党内に上がった際に、麻生は派閥の集まりで「野中のような部落出身者を日本の総理にできないわなあ」と発言したという。野中は、その発言を人づてに聞きつけ激怒し、政界を引退する最期の自民党の総務会で満座のもとで麻生太郎を目の前において「君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」と面罵したという。
この本の中で、野中は証人の存在も示しながら、当時の麻生の発言が事実であったことをあらためて明言し、差別意識にまみれた麻生のことを次のように批判している。

辛:麻生さんというのは、自民党の中でもそういう発言をする人なんですか。
野中:そうだろうね。実際そう思っているんでしょ。朝鮮人と部落民を死ぬほどこき使って、金儲けしてきた人間だから。彼が初めて選挙に出たとき、福岡の飯塚の駅前で「下々の皆さん」って演説した。これが批判を受けて選挙に落ちたんだ。彼はずうっとそういう感覚なんですよね。

野中の発言を受けて、辛淑玉氏はこの本の中で「彼(麻生)には、吉田茂の孫であり、また麻生セメントに代表される麻生財閥の末裔ということ以外に、政治的資源は何もない。能力もない。だから出自で人を見下す」と痛烈に批判している。

骨がらみに染みついた差別意識の現れ

麻生太郎の「上から目線」とは、この人間に骨がらみに染みついた差別意識の現れに他ならない。麻生のこうした「人を見下す」視線を敏感に感じ取るから、女性有権者や社会的な弱者たちから「顔を見るのも声を聞くのもイヤ」と毛嫌いされるようになった。
「天に唾して己が面に掛かる」という言葉の通り、麻生が野中広務に対して投げかけた差別的な発言は、何倍にも増幅されて、女性有権者の離反という形をとって自民党にはね返ってきている。
他の先進国であれば、麻生のような発言をすれば、即刻、政治家としての生命は終わりだろう。それが、あろうことか宰相の座にまで登り詰めてしまった。マスコミの責任も大きい。麻生の差別発言と野中広務との確執は、政界にいれば知らない者がいない出来事であったにも関わらず、大マスコミは一切このことを報じていない。

こんな人物を一国のリーダーに祭り上げてしまった自民党の罪は重いが、その咎は、結党以来の大敗北という形で償われようとしている。各種の世論調査が示す支持率が、このまま現実のものとなれば、自民党は政党としての体を成さないくらいの大惨敗を喫することになるだろう。
自民党は、政策や候補者の力で負けるのではない、麻生太郎によって負けるのだ。

(カトラー)

関連記事:麻生太郎の部落差別発言と自民党総裁選レースの行方

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コメント

自分は母国語の漢字もよめないくせに、ハーバード大学出身のオバマに「センスのある英語だね!」といい放ったぐらいですから、世界で一番えらいと思っているのだと思います。

投稿: junq | 2009.08.20 21:38

>自民党は、政策や候補者の力で負けるのではない

言葉のアヤかと思いますが、ここだけはちょっと言いすぎでは。
実際、まともな政策が皆無、有力候補者がろくでなし揃いという下地があっての麻生総裁とその不人気でしょう。
ネガキャンに走るのも、自党の良い部分をアピールしようにも実が全く無いので仕方なくで。
日本を守るだの、生活を守りぬくだの一応言ってますけれど、有権者の意識はむしろ実態と逆だろうし。

投稿: Gl17 | 2009.08.21 01:20

まぁ麻生は本当のエリートだから偉く振舞うのは仕方無いですわな
てか、小沢や鳩山もエリートでないと?バリバリの2世3世ですが

TVの煽りに乗せられる人間ってのはその程度の器なんでしょうな

今がどれだけ大変な時代なのか。麻生がその大変な時期を如何に乗り切ったか
民主が中韓の工作勢力、マスコミと組んでどれだけの破壊工作をしようとしてるか
単に周りに流されてきた人達にとっては危機感を感じるアンテナが無いんでしょうな

悲しいことです

投稿: any | 2009.08.21 02:03

>まぁ麻生は本当のエリートだから偉く振舞うのは仕方無いですわな

それにしては知性も品位も感じられない。

>今がどれだけ大変な時代なのか。麻生がその大変な時期を如何に乗り切ったか

 乗り切ってないのでは・・・・

>悲しいことです

  あなたがね。

投稿: Japanese man | 2009.08.21 15:34

ブッシュ政権の最後を思い出しました。

ブッシュ氏が、怒れるNY市民たちに
『とっととテキサスに帰れ』と歌われてホワイトハウスを去り、民主オバマ大統領就任から半年。

連動するかのように、日本でも民主党政権が誕生しようとしている。

中国■産党とか、FRB、AIGに比べたら、
麻生さんなんて、かわいいもんかもしれない。

投稿: | 2009.08.22 01:14

ブッシュ政権の最後を思い出しました。

ブッシュ氏が、怒れるNY市民たちに
『とっととテキサスに帰れ』と歌われてホワイトハウスを去り、民主オバマ大統領就任から半年。

連動するかのように、日本でも民主党政権が誕生しようとしている。

中国■産党とか、FRB、AIGに比べたら、
麻生さんなんて、かわいいもんかもしれないけど、ウザって思っている人は多いみたいですね。

投稿: | 2009.08.22 01:16

M1、M2女性層という言い方はおかしいのでは?女性ならF1,F2では。

投稿: | 2009.08.24 13:46

ご指摘ありがとうございます。F1,F2に修正しました。

投稿: katoler | 2009.09.02 13:02

結局自民党のCMが事実であったと言う事だねえ。
マスコミの対麻生ネガティブキャンペーンの恐ろしさは、ここにいる人たちの言動でもわかる。

投稿: | 2011.02.27 18:06

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