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小沢vs検察 「国体」との最終戦争の行方

Ozawa_interview 小沢一郎が検察の事情聴取に応じた。その後、行われた記者会見では、陸山会の土地購入に関わる不正資金疑惑についてあらためて否定し、検察との徹底抗戦を宣言するという異様な事態になってきた。

説明責任を未だ果たしていないと批判する声が上がっている一方で、政治資金収支報告書への虚偽記載という形式犯ともいえるような罪状で現職の国会議員まで逮捕に踏み切る検察の捜査手法について、反発の声もあがっている。

そもそも、今回の疑惑は、小沢一郎が野党時代の問題であり、職務権限を行使できる立場になかったことから、過去の疑獄事件とは異なり、仮にゼネコンから資金が流れ込んでいたことが立証されたとしても、贈収賄事件としての立件は不可能である。
既に逮捕された大久保秘書や元秘書だった石川議員にしても小沢一郎の関与を認めることは、ありえない。小沢が「政治資金の管理は秘書に任せていたことであり、自分は関知していなかった」と押し通せば、政治資金規制法違反で立件することも難しいだろう。

小沢一郎の政治的死を企図する検察

それでもなお、検察が小沢一郎周辺の逮捕に踏み切り、贈収賄での立件が不可能であるにもかかわらず、ゼネコン絡みの資金の流れについての立件に執念を燃やしているのは、小沢一郎という政治家の政治的死を企図しているからだ。

別の言い方をすれば、今、起きていることは、検察と小沢一郎との間で繰り広げられている権力闘争なのである。

この権力闘争の根本を理解するためには、この国のガバナンス、権力の本質の問題にまで遡って考えることが必要になる。

明治政府の成立以降、このかた日本の統治機構と権力の中枢は長く官僚組織にあった。
欧米列強から開国を迫られ、近代化に向けて舵を切った小国日本にとって、欧米が既に築き上げていたような国民国家などは望むべくもない。それでも大急ぎで近代国家として体をなしていることを示さなくはならなかったからこそ、生まれてきた国家観が「国体論」であった。
すなわち、日本国民は天皇の臣民、天皇を頂点とする家族とされ、この国は万世一系の単一民族として連綿とした国体を持つという神話が流布された。太古から、日本は単一民族であり、そのことを日本人は誇りとしてきたというのは、たかだか明治時代に急ごしらえででっち上げられた神話(嘘)に過ぎない。そして、太平洋戦争に敗戦するまで、こうした国家権力の有り様は「国体」という言葉に象徴されていた。

国体=天皇であると誤解されがちだが、国体とは実は天皇をも超越した概念である。ポツダム宣言を受諾した昭和天皇の終戦詔書においても、国体を護持するために朕(昭和天皇)は、ポツダム宣言を受諾すると述べているように、天皇も国体なるものの永続性を担う一部であって、それ自体ではない。敗戦時、当時の為政者の考えたことは、国民の生命や財産のことではなく、国体の護持ということだけだった。驚くべきことは、この時の指導者の誰ひとりとして国体の何たるかを定義していなかったことだ。

国体の一部を担っている官僚のエリート意識

国家とは本来人間が作りだしたシステムであるから、為政者の権力意志を表現している。しかし、日本にあっては、それは天皇を頂点とする「国体」という曖昧な言葉で覆われ、誰が権力者なのか、顔の「見えない構造になっている。この「顔の無い統治構造」こそが「国体」の本質であり、日本の高級官僚たちは、その「国体」の一部を担っているという自覚があるから、強烈な使命感とエリート意識を持ってきた。

敗戦によってこの国の全てが灰燼に帰したが、マッカーサーの下で制定された平和憲法では象徴天皇制がとられたために、こうした統治構造とエリート官僚達の意識構造は、戦後になっても基本的には変わることがなかった。米国の占領に当初は怯えていた官僚たちも米国と手を結びさえすれば、「国体」の構造は温存されることを理解して、親米国体主義ともいえる戦後の奇妙な官僚至上主義が形成されていった。

習国家副主席の天皇会見問題で露見した国体意識

話をもう一度、今に戻そう。昨年、中国共産党の習国家副主席と天皇の会見のセッティングをめぐり宮内庁と官邸、小沢一郎の間で火花が散った。
「1ヶ月ルールが無視されている」と宮内庁の羽毛田長官が不快感を示したことに対して、小沢一郎は「誰が何の権限を持ってそんなルールを決めたのだ」と激怒した。実は、この出来事にもこの国の統治と国体の問題が影を落としている。

政治のガバナンスの問題として見れば、小沢一郎の言っていることは全く正しい。
宮内庁といっても内閣の指揮下にある役所のひとつであり、その一官僚が政府の方針にたてついて公の場で不快感を示すことなどあってはならぬことだ。しかし、羽毛田長官は、明文化されていない暗黙のルールであるからこそ守られるべきものであり、時の最高権力者の意向に逆らい自分のクビを賭けてでも守るべきものと考えている。天皇の健康問題に絡めて、一ヶ月ルールの重要性を語っていたが、羽毛田の脳裡にあったのは、平成天皇個人の健康問題を超えた、まさに「国体の護持」であり、羽毛田を突き動かしていたものは、天皇の側近として国体を守っているという、官僚としての誇りだったろう。

私は、テレビカメラに向かって顔面を紅潮させて怒っている小沢の顔を見ながら、この問題が、国体を奉じる連中のスイッチを入れてしまうかもしれないという、ある種の危惧を感じていた。というのも、そこに田中角栄の姿がダブって見えてくるからだ。

国体を担う親米エリート官僚との権力闘争

戦後の日本政治の中で権力の掌握を明確に意識して登場してきたのが田中角栄という政治家だった。田中が大蔵省上がりのお坊ちゃん政治家と根本的に違っていたのは、権力とは暴力であり、数の力と金であることを知っていたことだ。田中は、後に「金権政治」として糾弾される利権を軸とした権力構造を力づくで、ほとんど一人の才覚でつくりあげた。その結果、建前の権力構造としての官僚組織と利権を軸とした自民党の権力という二重構造が日本の政治に生まれた。

ロッキード事件とは、つまるところ国体を担う親米エリート官僚集団と「今太閤」といわれた成り上がり政治家、田中との間で繰り広げられた権力闘争だった。
そして、現在、検察と小沢一郎との間で繰り広げられているのは、その変奏曲であることは間違いない。

ただし、田中角栄の時代と違うのは、小沢一郎が政権交代を成し遂げたという自覚をもっていることと、米国の影響力が田中角栄の時代に比べれば格段に弱まっていることだ。小沢一郎は、この戦いに勝算を持っているのかどうかわからないが、自分の政治力、権力が国民から付託されたものというポーズをとることによって、国体勢力に対峙しようとしている。

政権交代後の新しい政治的現実が鍵となる

米国との関係についても、普天間基地の移転の問題、アフガニスタンでの給油活動の中止の問題も日米間の大変な問題になるとのプロパガンダが、親米派の官僚、メディアから流布され、明日にも日米同盟が崩壊するような論評があふれかえったが、政治的現実はそんな所にはなく、要はなるようにしかならないことが露呈しつつある。米国との関係も、数ある外交的な選択の一つであることが、政権交代後の新しい現実として意識されつつある。
自民党による55年体制が、昨年の夏に終焉したのと同様に、外交、経済、それぞれの政治局面で、パラダイムが変わったことをメッセージとして出し続けることができれば、この陣取り合戦にも、ぎりぎりの所で勝てると小沢はふんでいるのではないか。

とすれば、壊し屋、小沢一郎が、政治家として最後の目標に据えているのは、実は、顔の無い統治構造「国体」そのものを壊すことかもしれない。
国体が壊れる時、この国は、千々に乱れて崩壊してしまうのか、それとも成るようにしかならないのか、その答えはまだ見えていない。

(カトラー)

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Comments

結局、この綱引きは引き分けとなり、両者の力をただただ減衰させると思う。この戦いの意味を問うよりも、この戦いが「終了」する事の意味は大きい。もう何も残っていない近未来に、悄然と立ち尽くしてしまいそう。

三島由紀夫の予言が当たった気がする。

「日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう」

Posted by: あたり前 | 2010.01.25 at 05:47 PM

賞味期限の切れた顔が見えない官僚による統治から、(欠点は多々あるのは分かっていつつ現状では多少はましな)顔の見える政治家による統治へ。
これまでも歴史の中でたくさん起こってきた国の変容が起こるだけの話でしょう。
これは例え小沢一郎が一時的に失脚しても、遅かれ早かれそうなる大きな流れ。
「世界は終ってしまった」と絶望する、もしくはポーズをとりたがる老人は消え去るのみ。

Posted by: haruomi | 2010.01.26 at 12:45 AM

この記事内容に賛成です。小沢一郎という人は経世会の手法で、日本をまっとうな法治国家にしたいのだと思います。湾岸戦争あたりがポイントなのかな?ただ、政治手法と彼の政治理念に根本的なねじれが生じていて、そこをエリート官僚につけ込まれているのでしょう。小沢が好きか嫌いかはともかく、小沢が逮捕されれば、官僚支配はしばらく続きそうですね・・・

Posted by: Pelly | 2010.01.26 at 01:20 AM

この書き手は馬鹿なの?

小沢発言の矛盾が問題視されてて、もとから贈収賄なんて立件方針ないのに、勝手に想像膨らませて、何で結論を権力闘争にしちゃうの。
週刊誌の三文記事と変わらない。

こういう記事を我田引水というのでは。

Posted by: | 2010.01.26 at 01:21 AM

ブロゴスから通りかかり、鋭いご意見に驚きました。われらの悲しみ、日本のもだえを突く憂国のご見解です。ただ、連綿と続くと見れば[国体」ですが、断絶を置けば戦前[陸軍支配]、戦後[官僚支配]に分かれ、干支のように60年で腐り切るとも言えます。
天皇護持自負の原理主義を看板に、陛下外遊に女房を同行する勘違い集団の宮内庁官僚。アメリカとの連携原理主義で、交渉なき楽チンを願望する外務官僚。国土発展原理主義で、甘い汁を吸った土木官僚。そうして今回、カネの清潔が正義の政治を実現するという狂信的原理主義で、法と証拠を超越し冤罪何じゃらほいの検察官僚と、似た病気のマスコミによる、民主政府への攻撃です。外国メディアはそう見て、異常さを報道しています。本当にいやな国になりましたね。

Posted by: hiho21 | 2010.01.26 at 02:44 AM

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Posted by: pornostopneoos | 2010.01.26 at 03:54 PM

久々の更新を拝読しよく言われていることではありますが、頭が整理できました。
明治体制は国家神道とキリスト教体制(外人教師・ミッションスクール)であり、後者が戦後国家神道は否定され、それを復活する思想が自民党の保守派と理解しています。ちなみにクリスチャンの自民党総裁は少なくなかったですね。
日本には飛鳥時代から江戸時代に至る神仏並存の歴史があります。
明治の官僚制度を破壊した後にイメージするべきことは、近代国家になるために明治政府が破壊した徳川体制の民主的再編にあるように思います。
いずれにしても国民全員がマスコミの営業戦略にのって全国区で考えるのではなく、身の回りのことを自分たちで解決するようになりたいものです。

Posted by: 松の介 | 2010.01.26 at 09:19 PM

国体にからめてうんぬんするのも悪くないけど。

そもそも純然たる犯罪行為について検察は捜査してるんでしょうが。

それに対する言及はないの?

国体とか、大げさな言葉でごまかさないでほしいな。

Posted by: コンコンサケイ | 2010.01.27 at 11:28 AM

別件とか、職権も存在したない範囲での収賄標榜とか、検察のやってる主要部分は「純然たる犯罪行為の捜査」からは最もかけ離れたモンでしょ。
あまりそっち方面の基礎知識がない方のようですが。

正しく言うなら「純然たる犯罪行為捜査(瑣末な)にかこつけて、逸脱したことを大規模にやってる」てとこかな。

Posted by: Gl17 | 2010.01.29 at 11:11 AM

さすがにインサイダー取引が蔓延し、自己の立場を利用して
蓄財に励む日経新聞社員らしい、まるで腐敗しきった社会主
義体制の中で権力の立場であろうとする、いかにもそれらし
い内容ですね。

国賊ともいえる小沢を擁護するために過去の悪しき部分を引
用し、ごり押しで結びつけるこの手法。朝鮮人民新聞たる朝
日新聞と変わらない。朝日新聞にあっては外国人参政権につ
いて日々、慎重な意見が出ているにもかかわらず、朝日新聞
の調査結果として国民の70%相当以上が参政権付与に賛成
といった恣意的な統計を出しているくらいですしね。

自民党においても官僚の悪しき部分との戦いは行われていた
ものの敗北し続けてきたというのが事実であって、官僚と戦
い無駄をなくそうという議員に投票せず、利権がらみの選挙
に終始した有権者の責任であるということ。

現在民主党が政権をとれたのは民主党によるマニフェスト詐
欺により目先の利益だけのためにコンクリートからさらにも
っとコンクリートへとする民主党に投票した愚かな有権者の
責任。

このブログ主に騙されるのはこれら愚かな有権者となんらかわらない。

Posted by: も | 2010.01.31 at 08:19 PM

なるほど。国体とはまた古びた妖怪を引っ張りだしたものだと思ったが、意外に正鵠を得ているかもしれぬな。

それにしても、このコメント欄をみても、相も変わらず、マスコミ記事に踊らされている愚か者どもが多数おるのには呆れてしまう。

知らず知らず国体護持に挺身している可哀そうな者どもじゃ。

小沢殿がどこまで闘えるかはわからぬが、わしとしては、陰ながら応援する所存じゃ。

Posted by: boriemon | 2010.02.01 at 12:50 AM


チチコスの子の乳をちちくりまくったぞw
したら割れ目からすっげぇ気がいっぱい溢れてきたから、
オラの元気玉をトコトンぶっぱなしてやったぞ!!!!
http://x2slwr5.mune.n%61r%61duke.net/

Posted by: オラわくわくしてきたぞw | 2010.02.02 at 12:02 PM

言論人であるのなら、もう少し言葉の使い方を勉強された方がよろしいかと。
平成天皇などという言い方はありえない。
今上天皇とすべき。
陛下に対する丁寧語・謙譲語の使い方にも疑問。
不遜ですぞ。

Posted by: やす | 2010.03.02 at 07:38 AM

不遜ねえ…
こういう人の精神構造って、崇め奉る対象こそ違え、将軍様への忠誠を強要する北朝鮮のイカレた方々と大差ないですね。

Posted by: | 2010.03.02 at 09:32 AM

検察が一番恐れているのは人事よりもとにかく取り調べ可視化法案。

あいつらの捜査は単なるパフォーマンスで、主な仕事は密室での自白捏造なんだから、小沢がダメなら他の民主党議員を狙って法案提出を死に物狂いで妨害してくるよ。

Posted by: 検察の恐怖政治 | 2010.03.08 at 04:13 AM

I enjoyed reading your blog. Keep it that way.

Posted by: Sleereunc | 2010.09.05 at 02:24 AM

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