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顔の濃い怪しい市民団体はファシズムに対抗できるか

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元大阪地方検察庁特捜部 前田前検事による証拠品のフロッピーデータの改ざんは、検察全体を揺るがす大問題に発展している。
前田前検事および当時の上司であった大坪前特捜部長、佐賀前副部長は、いずれも逮捕、懲戒免職処分とされ、起訴される見通しである。
しかし、ここにひとつ盲点ともいうべき問題がある。それは、前田前検事の訴追内容が、現時点では「証拠隠滅罪」となる見通しが伝えられていることだ。

証拠隠滅罪は、字義通り証拠を隠したり、廃棄したりする行為を指し、2年以下の懲役または20万円以下の罰金という軽犯罪の扱いとなる。しかし、今回の事件の重大さからすると、既に社会的な糾弾を受けているとはいえ、刑罰としては余りに軽すぎるのではないかと違和感を持っていた。

証拠隠滅罪ではなく特別公務員職権濫用罪を

今月号の中央公論に郷原信郎弁護士がこの問題について、前田前検事に対しては証拠隠滅罪ではなく、特別公務員職権濫用罪が適用されるべきとの論考を発表している。
つまり、現在、最高検察庁を頂点とする検察サイドのこの問題のとらえ方は、前田検事が証拠を改ざんし、その事実を上司である大坪前特捜部長、佐賀前副部長が認知しながら、黙認あるいは見過ごしたということになっている。

相変わらず大マスコミは、こうした検察サイドのフレームワークに乗っかった形で、フロッピーをどうやって改ざんしたのか、あるいはそのことを上司が知っていたのかどうかということを書き立てている。しかし、最も本質的な問題は、前田前検事がフロッピーをいじったかどうかということではなく、それが、厚生労働省元局長の村木厚子さんの事件への不関与を示す決定的な証拠であったにもかかわらず、そのことを知りながら、大阪地検特捜部が立てたこの事件に対する「見立て」を押し通すために村木厚子氏を不当逮捕したことそのことである。

村木厚子さんの不当逮捕の問題は、一言で「えん罪事件」と表現されるが、その表現は著しく不適切である。なぜなら、本来のえん罪とは、検察・警察当局が訴追した容疑者が、無実であったことが後から判明するということだが、村木さんの場合は、最初から犯罪がでっち上げられていたからだ。

このことは、よくよく考えてみれば、大変恐ろしいことだ。今回のケースのように何の罪もない市民が、検察当局がでっち上げた証拠により、罪人に仕立て上げられるとしたら、これは恐怖政治の状況そのものである。村木さんの場合は、検察内部に告発者がいたこと、弘中惇一郎氏という人権派の腕利きの弁護士がついていたこと、また、村木さん自身が強固な意志をもって無罪を主張し続けたことなどが、運良く重なり、たまたま無罪を勝ち取ることができた。過去の事件の再検証も必要となるが、これまでにもこうした「でっち上げえん罪」が検察捜査の中には数多くあったのではないかと推測される。

でっち上げ捜査を繰り返してきた?特捜検察の体質

村木さんの事件の検察の問題を大新聞は「検察の信頼の崩壊」等と言っているが、そうやって嘆いてみせる前に先ず問題としなければならないのは、国策捜査という「でっち上げ捜査」を繰り返してきた特捜検察の体質そのものである。そうした論調になっていかないのは、記者クラブ制度にのっかった既存マスコミが、検察からのリーク情報をネタにそうした「でっち上げえん罪」づくりの片棒を担いできた共犯意識が邪魔しているからだろう。

このままでは本当にやばい!という問題意識を持って、「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」という市民グループが、検察庁に対して、一昨日の月曜日、前田前検事を「特別公務員職権濫用罪」で訴追すべしという趣旨の告発を行った。実は、このブログの運営者、カトラーこと不肖私も告発人の1人として名を連ねている。

検察庁への告発状提出が急遽決まったために、仕事の予定が動かせず残念ながら同行はできなかったのだが、代表の八木啓代(やぎ・のぶよ)さんを中心に6名のメンバーが霞ヶ関の検察庁に出向き、告発状を提出し、その後、ジャーナリストの岩上安身さんのインタビューを受け、その模様がUSTREAMを通じて配信された。

岩上氏は、インタビューの中で、「一般人が検察という公権力に対して告発を行うというのは前代未聞」と私たちの行動を高く評価してくれた。ツイッター上などでも一般の人々はもちろん法曹関係者、政治家などからも応援のメッセージが相次いだ。

市民の会のメンバーは、学者・研究者、弁護士、会計士、作家、写真家、私のような会社員など様々な立場の人たちが参加している。私も含め、「市民運動」などに関わったことはほとんどないし、特定政治信条を持った集まりでもない。ツイッター上や個人的な人脈を通じて知り合った、それぞれが初対面の人たちばかりだ。
過去において、共産党や社会党のエージェントとして動いていたプロ市民団体や、小沢一郎を検察審査会にかけるべく告発をおこなった右翼市民団体などとは、全く異なるという意味で自分たちのことを「怪しい市民団体」と称している。

健全な法治国家のために声を上げる事が必要

代表を引き受けてもらった八木啓代(やぎ・のぶよ)さんは、南米watcherで、ラテン音楽の歌手としての活動や作家として何冊も本を書いている多才な女性で、PANDRAのハンドルネームでブログも書かれている。最近では「ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書) 」という、現代の日本人全員が必読の素晴らしい本を書かれている。

このブログの前回のエントリー記事で、小沢一郎の告発を行った市民団体として朝日新聞が引っ張り出した「真実を求める会」のことを「顔の無い市民団体」と批判したが、彼らとの比較でいえば、私たちはさしずめ「顔の濃い怪しい市民団体」といえるかもしれない。

市民の会のホームページでは、以下のドイツの神学者マルティン・ニーメラーの言葉を紹介している。ナチスドイツの台頭を許したドイツ市民に対するメッセージだが、この言葉は、そのまま現在の日本の私たちの心に鋭く響いてくる。

彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、
私は共産主義者ではなかったから。

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった、
私は社会民主主義ではなかったから。

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、
私は労働組合員ではなかったから。

彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった、
私はユダヤ人などではなかったから。

そして、彼らが私を攻撃したとき、
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

(カトラー) Twitter: @katoler_genron

健全な法治国家のために声を上げる市民の会HP:

http://shiminnokai.net/     Twitter : @shiminnokai21

岩上安身氏によるインタビュー:

http://www.ustream.tv/recorded/10575659

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